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「それじゃあ3年6組バレー選抜組諸君、しまっていこうか!」
『おおー!!!』
やけに芝居がかった委員長の掛け声に、大きく雄叫びを上げるチームのみんな。
こういう所が少しだけ及川と被って見える。
「さあ、A女史!及川君との逢い引きの成果を存分に発揮してくれ給えよ。」
ポンと嬉しそうなにこにこ顔で私の肩に手を置いてくる。
「恐ろしく語弊がある言い方はやめてっ...。ただの"特訓"だっての!!」
「は〜いはい!ツンデレツンデレ〜」
とかなんとか訳の分からないことをほざきながらコート決めに駆けて行った委員長の背中を溜息で見送る。
委員長から自分の手へ視線を降ろす。
この一週間、何度もバレーボールへ触れてきたその手に...。
及川は自分の競技時間と被っているから見には来られないらしい..。
とても残念そうにしていたが、私はむしろちょっとホットしている。
さてっ..!!
※
「ふぅ〜」
体育館の外の階段に座り、深く息を吐く。
試合は全て終わった。結果は......
「おつかれ、Aちゃん。」
「うん...及川も。」
ふふっと嬉しそうに笑った及川が私の隣に腰を下ろす。
ふわりと、微かにいい匂いが鼻腔をくすぐる。運動後のはずなのにな...
......変態か私は......!!!!
「聞いた?結果。」
「うん、準優勝......だってね。」
及川のその言葉に鼻の奥が少しツンとする。
と、ポンッと私の頭に温かい大きな手が乗せられる。
「頑張ったね、Aちゃん。」
「及川......」
及川があんまりにも優しい顔で笑うから...
―ポロっ
「!?!?!?っっうあ...ゆっきちゃ...!ごっ!ごめん!!!嫌だったよねごめん!!!!!」
私の目から零れた雫に及川はぎょっとしてあたふたしだす。
いつになく余裕のない及川がなんだか妙に可愛らしくて、ふふっと笑えば、及川は決まりが悪そうに頬をかく。
「違うの、及川...。」
私から離れていた及川の大きな手を、ぎゅっと両手で握る。
「っぅへ.../!?」
「ありがとう、及川!バレー、楽しかった...!」
「っ//...そっか。」
さわさわと優しい風が私達を撫ぜる。
あのね、及川...私ね......
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紫癸(プロフ) - RIOさん» 呼んでいただきありがとうございます!全然更新できてなくてすみません...頑張って完結させます!!! (2021年11月8日 21時) (レス) id: 577fa76214 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 小説読ませてもらってます!めっちゃ面白いです!!更新待ってます! (2021年11月3日 19時) (レス) @page50 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - ねこ@自己満小説さん» 読んでいただきありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!!^^更新頑張ります! (2021年8月8日 14時) (レス) id: 577fa76214 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ@自己満小説(プロフ) - この作品めちゃくちゃ好きです!展開も早くてもうあの、性癖にグサッときましたね!これからも頑張ってください!! (2021年8月7日 12時) (レス) id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
紫癸(プロフ) - さ。、さん» コメントありがとうございます。なるほど……そうですよね、申し訳ございません。物語の構成上まだ名前呼びにはできないので、苗字変更できるように調整します!!貴重なご意見ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2020年6月15日 18時) (レス) id: 09e86c6bee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫癸 | 作成日時:2020年6月2日 15時