【Like or LOVE】8 ページ8
“ゆづくんが好きなんだろ！”
“ずっと好きでいたいなら言えるだろ！！”
「みやってホント、純粋で真っ直ぐだな。昔と全然変わらない。」
そんな脳内の葛藤を遮るように、ゆづくんが笑った。
純粋？真っ直ぐ？変わらない？
ゆづくんに対してこんなにも邪な感情を持ってるのに？
いつまでも高校生のままだとでも思ってる？僕のこと何にも知らないくせに！
そう思ったらなんだか無性に腹が立って、気付いたら横にあった壁を手のひらでバンッと殴っていた。
またびくっとなるゆづくんに気付かないふりをして、床を見つめたまま呟く。
「…クじゃない。」
「へ…。」
「Likeなんかじゃない！」
お腹の底から声を絞り出す。
そもそもこの気持ちはそんな軽い言葉であらわせるものではないのだ。
僕はゆづくんを心から尊敬しているし、守りたいし、愛したい。
だけど…。
「みや…？」
口に出してしまったら最後。僕はもうゆづくんの側にいられない。
なのに…。
「最後だから言うけど…僕は９年前からずっとゆづくんを、愛してる…。」
止められない口と自然に流れ落ちる涙。
そして最後にもう一度、愛してる…と呟けば、一気に現実の時間が流れだし、心の中にある自尊心という鎖が、バラバラに契れていく。
終わったかもしれない…でももうどうなってもいい。
うなだれ、倒れないよう必死に四肢に力を込める。
あわせる顔がないな…。もう消えよう。
ゆづくんを見もせず部屋から出ようと、うつむいたまま踵を返す。
空っぽだけど重い身体を引きずるように一歩踏み出す。
すると不意に背中からがっしりとハグされ、行く手をはばまれた。
「行くなよ。」
加えて、ゆづくんの重みと共にかなりしっかりとした声で呼び止められる。
「……。」
何？最後に文句の一つでも言いたくなったのだろうか。
「みやは…俺が好き、なの。」
「さっきからそう言ってます…。」
なぜか敬語だ。バカみたい。
「９年前から？」
「いつからだっていいでしょ。」
そうだよ。
なんでそんなこと聞くの。もうどうでもいいんだから。
「好きだから、練習見にきてくれたりしたの？」
「…たぶん。」
てかそんな質問ばっかしないで。
はっきり言ってくれていいのに、キモいって。
みやはずっとゆづくんのことを、先輩としてじゃなく恋愛対象として見てたんだから。
「お前…ずりぃよ。」
しかしかけられた言葉は罵声ではなく、ゆづくんの泣きそうに揺れる声だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - らっきさん» 読める心境になってよかったです！気持ちには応えられないけど好きでいていいんだって、羽生さんに言って欲しかったんです。お話の中だけでなくお互いの立場上、様々な困難があるでしょうし。夢もあるし。さてツアー！たまアリに行けますように！！ありがとう！ (9月11日 23時) (
レス) id: 4f12fa325f (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 完結おめでとうございます！やっと読める心境になり、読みに参りました。やはり切ない結末で、でも未来が見える終わりでしたね(*^^*)二人ともお互いが別の形で支えになっていくんだなーと思いました。新しいツアー、チケ取りもまた頑張りましょう。お疲れ様でした！ (9月11日 22時) (レス) @page28 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» でも書くのをやめると結構暇ですね。最近は宮川界隈でオタクしてますが(*^^*)みやのライブで癒されてます。いつかお会いすることがあったら、ご挨拶させてくださいね！ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートのシーン。夢小説には必要ないのかもしれないど、こだわりたかった。スケートで何かを伝えたり、心を重ねてみたりするのが好きなので。 (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートとは、ファンとは、プライベートとは…。想像ですけど、こうであったらいいなと思いながら書きました。普通の生活が難しい人なので、実際お相手の方はなかなか大変だろうなと、ちょっと同情したりして(笑)友達以上恋人未満、くらいがちょうどいい気もします^^ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2023年8月8日 23時
