【Like or LOVE】4 ページ4
振り向いたゆづくんは、黒いTシャツに着替えてはいるもののまだうっすら汗をかいていて、終わってからも休まる暇がないほどこのショーの重要人物であることを悟る。
そして、優しい笑顔を見せてくれたかと思ったら…。
「こっち。」
インタビューの時とは違って、ゆっくりとした手招きで僕を呼んでくれる。
わぁ…移動?それだけですっごい特別感ある。
照れながらちょこちょこと歩み寄ったら、ゆづくんがくるりと体制を変えてそのまま前へ進みだした。
おとなしくついて行くと、ショーの間お世話になったケータリングのお部屋にたどり着く。
まぁ正しくはケータリングがあったお部屋、だけど、ここだけでも色んな思い出が甦ってきて泣きそうだ。
「ここならちょっとゆっくり話せるね。」
ゆづくんが一息つくように壁にもたれ、脱力しつつ息を吐く。それが子供みたいでかわいくて…。また本当に年下なのかと錯覚しそう。
「えっと、ファンタジーお疲れさま。」
でもそんな悠長なこと言ってられない。とにかく時間がないから早くしなきゃ。
「うん。みやもお疲れ。何日も泊まりとか色々大変だったでしょ。」
「…うん。」
ゆづくんが色々あったことを労ってくれる中、特に睡眠に関してはかなり迷惑をかけてしまったので素直に肯定しておく。
ちなみに地方のライブとかでもほとんどが日帰りか一泊だから、このイベントは本当に何もかもが特殊だった。
「ふふふ。でも良い思い出いっぱいできた。ありがとみや。」
風のようにさりげない謝辞を受け、なんでそこで僕の名前が出るのかなとちょっと疑問に思ったけど、思い出なら僕もたくさんできたし、何よりも目標が定まったことが素直に嬉しい。
「ゆづくんこそ…忘れられない時間をありがとう。」
ぺこりと頭を下げる。
今回のイベントは、自分にとって今後を考えさせられる大切な時間になった。でも何よりも、またゆづくんと繋がれたことが本当に嬉しかったのだ。
「なんか、寂しいね。終わっちゃうの。」
「うん…あ、でもさっきステージで…。」
そうだ。僕はこの耳ではっきりとゆづくんからの言葉を聞いたのだ。
“次のファンタジーで会おう”って。これって、信じてもいいのかな…と恐る恐る上目遣いで見つめると…。
「うん、また会お。約束してたら寂しくないかなって。」
「……。」
本当なんだ。
ゆづくん、あなたって人は…。
でもそれ、深読みしたら“僕と会えないのが寂しい”って言ってるのと同じだよ。
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鹿(プロフ) - らっきさん» 読める心境になってよかったです!気持ちには応えられないけど好きでいていいんだって、羽生さんに言って欲しかったんです。お話の中だけでなくお互いの立場上、様々な困難があるでしょうし。夢もあるし。さてツアー!たまアリに行けますように!!ありがとう! (9月11日 23時) (レス) id: 4f12fa325f (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 完結おめでとうございます!やっと読める心境になり、読みに参りました。やはり切ない結末で、でも未来が見える終わりでしたね(*^^*)二人ともお互いが別の形で支えになっていくんだなーと思いました。新しいツアー、チケ取りもまた頑張りましょう。お疲れ様でした! (9月11日 22時) (レス) @page28 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» でも書くのをやめると結構暇ですね。最近は宮川界隈でオタクしてますが(*^^*)みやのライブで癒されてます。いつかお会いすることがあったら、ご挨拶させてくださいね! (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートのシーン。夢小説には必要ないのかもしれないど、こだわりたかった。スケートで何かを伝えたり、心を重ねてみたりするのが好きなので。 (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートとは、ファンとは、プライベートとは…。想像ですけど、こうであったらいいなと思いながら書きました。普通の生活が難しい人なので、実際お相手の方はなかなか大変だろうなと、ちょっと同情したりして(笑)友達以上恋人未満、くらいがちょうどいい気もします^^ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2023年8月8日 23時