【見ちゃった】6 ページ17
「A、羽生結弦って大変なんだよ。」
「知ってるけど…。」
「でもね、それを選んだのは自分だから。職業羽生結弦を全うしなきゃ。」
「ゆづ兄…。」
それは誰のため？
家族のためじゃないのは確かだなと、悲しいことに私は今確信してしまった。
兄の視線の先にはいつもたくさんのファンがいて。
幸せを感じたり、あたたかさを共有したりしながら、いつも嬉しそうにＳＮＳを見てるんだっけ。
「だからA、お前が一番に支えてね。俺が負けそうになったら、後ろからケツ蹴り飛ばして。」
「なんで私なのよ〜…。」
「家族でしょ。」
なぜだろう。涙が出る。
こんな時だけ家族って…。なんか腹立つ〜！
「私は…お母さんみたいにゆづ兄のお世話係じゃないもん。」
「あはは！」
今ならわかる。現役時代、お母さんがどれだけつらかったか。
こんな兄を理解し、咀嚼しなければならないのを、たった一人で乗り越えてきたんだ。
「ねぇ、なんでそんなに頑張れるの。」
「そりゃ世界中のファンのため。」
「自分のためじゃなくて…？」
「これまで俺が選んで作ってきた羽生結弦は、たくさんの応援でできてる。もらってばかりじゃダメなんだ。返せるものはスケートしかないけど、俺自身まだまだスケート続けたいし、見て欲しい。」
目をキラキラ輝かせてまるで少年のような笑顔。
やだなぁ、こんな顔されたら全部許しちゃう。
「サービス精神越えてるね。自己犠牲がすぎる。」
「ちゃうちゃう。俺には魅せたいスケートがあんの。それは今しかできないの。わかって。」
「…身体のタイムリミット？」
「うん。」
そして、自分が一番自分をわかっている。
いつか滑れなくなることを、常に念頭においてるんだ。
「ゆづ兄って生きるの下手だね。いくらでも楽できるポジションにいるのにさ。」
「そんなの生きててつまんないだろ。何かを伝えるのが人の生きる意味だよ。」
「とことんアウトプットの人生だね。」
「インプットも怠りません。」
はいはい。知ってます。
「あーやだ。羽生結弦なんて職業、絶対やりたくない！」
私ならそんなイバラの道を行くような人生お断りだ。
「褒め言葉として受け取っとく。」
「ドＭー！！」
心の底から叫ぶ。
兄はいつだって、一時的な自分の想いだけで選択しているんじゃない。
結果を求めて、先を想像し、つらくても最良の選択をする。
そうやって羽生結弦は作られてることを、私は改めて思い知ったのだった。
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鹿(プロフ) - らっきさん» 読める心境になってよかったです！気持ちには応えられないけど好きでいていいんだって、羽生さんに言って欲しかったんです。お話の中だけでなくお互いの立場上、様々な困難があるでしょうし。夢もあるし。さてツアー！たまアリに行けますように！！ありがとう！ (9月11日 23時) (
レス) id: 4f12fa325f (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 完結おめでとうございます！やっと読める心境になり、読みに参りました。やはり切ない結末で、でも未来が見える終わりでしたね(*^^*)二人ともお互いが別の形で支えになっていくんだなーと思いました。新しいツアー、チケ取りもまた頑張りましょう。お疲れ様でした！ (9月11日 22時) (レス) @page28 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» でも書くのをやめると結構暇ですね。最近は宮川界隈でオタクしてますが(*^^*)みやのライブで癒されてます。いつかお会いすることがあったら、ご挨拶させてくださいね！ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートのシーン。夢小説には必要ないのかもしれないど、こだわりたかった。スケートで何かを伝えたり、心を重ねてみたりするのが好きなので。 (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートとは、ファンとは、プライベートとは…。想像ですけど、こうであったらいいなと思いながら書きました。普通の生活が難しい人なので、実際お相手の方はなかなか大変だろうなと、ちょっと同情したりして(笑)友達以上恋人未満、くらいがちょうどいい気もします^^ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2023年8月8日 23時
