【見ちゃった】2 ページ13
うろたえる私に、してやったりな視線を向ける兄。
ええい、そこまでバレてるなら聞いてやろうじゃないの。
「ちょっと来て。」
「わっ！」
私は兄の腕をとり、元いたケータリングの部屋まで強引に連れ戻す。
そして完全にドアを閉めてから真面目な顔で詰めよった。
「宮川さんと何してたの。」
ただならぬオーラを感じた手前、見過ごすのは違う気がして。
すると兄が何かを感じ取ったのか、斜め上に視線を向け、舌打ちする素振りを見せた。
「何って。」
「とぼけないでよ。抱き合ってたくせに。」
「あ、やっぱりA見てたんだ。プライベートの侵害〜。」
私を指差し、さっきみたくからかうように笑う。
「ふざけないで。ねぇ、まさか付き合ってるとかじゃないよね？」
「付き合ってないよ。」
冗談ではなく本気で尋ねたけど、兄の返事は即否定。
でも信じるにはまだ足りない。
「雰囲気がちょっと変だった。」
「どのように？」
「どうって…なんていうか…。」
恋人っぽかった。と言ったら、またハハッと笑った。
「俺もみやも同性じゃん。」
「そんなの今時珍しくないもん。」
同性のパートナーについては、もはや国会でも議論されるくらい身近な話題になってる。
別に推進するわけじゃないけど、兄ならいつかの雑誌みたいに美しくなれるから、あり得るんじゃないかと思うだけ。
「つかさ、もしそうだとして。Aに言わなきゃいけないことの？」
「あたりまえでしょ、家族なんだから。」
「妹として心配？」
「うん。」
心配どころか、兄の恋愛は私にとっても死活問題だ。
もしも二人が本当に付き合ってて、世間を騒がせることにでもなったら、ゆづ兄共々、羽生家は終わりなのだから。
「羽生結弦には男の恋人がいます、みたいな？」
「世界がひっくり返る。」
「Aでもそう思うんだ。」
口調は軽くてもヘビーな内容だなと思いつつ、念のため近くに人がいないか今一度確認する。
「そりゃ、誰だって思うよ。」
世界的スーパースターの兄は、幸か不幸か何をしてもすぐに話題になる。
それはかなり由々しき問題で。
本人はただスケートを頑張っただけなのに、結果的に他人の人生にまで影響を与えてしまっていることに、私が恐怖するくらい。
正直、兄にとってどんなにファンが大切でも、兄に何もかも背負わせないで欲しいとさえ思う。
事実でなくても、周り回って誰かの反感を買うことだってあるのだ。
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鹿(プロフ) - らっきさん» 読める心境になってよかったです！気持ちには応えられないけど好きでいていいんだって、羽生さんに言って欲しかったんです。お話の中だけでなくお互いの立場上、様々な困難があるでしょうし。夢もあるし。さてツアー！たまアリに行けますように！！ありがとう！ (9月11日 23時) (
レス) id: 4f12fa325f (このIDを非表示/違反報告)
らっき(プロフ) - 完結おめでとうございます！やっと読める心境になり、読みに参りました。やはり切ない結末で、でも未来が見える終わりでしたね(*^^*)二人ともお互いが別の形で支えになっていくんだなーと思いました。新しいツアー、チケ取りもまた頑張りましょう。お疲れ様でした！ (9月11日 22時) (レス) @page28 id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» でも書くのをやめると結構暇ですね。最近は宮川界隈でオタクしてますが(*^^*)みやのライブで癒されてます。いつかお会いすることがあったら、ご挨拶させてくださいね！ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートのシーン。夢小説には必要ないのかもしれないど、こだわりたかった。スケートで何かを伝えたり、心を重ねてみたりするのが好きなので。 (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - エミルさん» スケートとは、ファンとは、プライベートとは…。想像ですけど、こうであったらいいなと思いながら書きました。普通の生活が難しい人なので、実際お相手の方はなかなか大変だろうなと、ちょっと同情したりして(笑)友達以上恋人未満、くらいがちょうどいい気もします^^ (8月21日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2023年8月8日 23時
