【1月1日】4 ページ27
すかさず俺が訂正する。
「結弦お酒飲んでるの?大丈夫?」
「美味しいよ?てか、ちょっと座りなよ。」
監督が酔ってしまう前にちゃんと報告したいから。
Aを隣に座らせて、俺も改めて正座した。
雰囲気を察してくれたのか、監督もお酒をテーブルに据え置いてくる。
「えと、監督。今までAを気にかけて下さってありがとうございました。これからは二人で頑張っていきます。」
チラッと隣のAを見ると、彼女もこっちを見てにこっと笑った。
「野球選手じゃなくてフィギュアスケートの選手と結婚することになっちゃいました(笑)」
Aが冗談ぽく言う。
たぶん本気で野球選手を狙っていたんだな…。
あぶねー。
「木下…いや、羽生がいいなら、俺は何も言わんよ。困ったことがあればいつでも来たらいい。」
スケートの助言は出来ないが。と監督が笑っている。
「フィギュアスケートって楽しいんですよ?あ、監督!オリンピックは絶対テレビで見てくださいね。」
Aが前のめりに言う。
それを見た監督が、Aにもお酒を差し出した。
「わかったわかった。すっかりスケートだな!あんなに野球命だったのに(笑)」
「結弦に打たれて変わったんです。」
「え…。」
そうだったんだ。
意外な言葉を聞いて、俺がびっくりした。
ひょっとして、あの出来事がなかったら。
俺達は今こうして三人で語り合っていないかもしれないってこと?
…いや、それはさすがに大げさか。
「羽生。あの日以来コイツは一球も投げに来てないぞ。」
「そうなんですか?!」
「忙しかっただけです(笑)」
短い髪をかきあげて、お酒を飲むA。
…嘘だな。
「ふーん。俺に打たれたのがそんなに悔しかったんだ。」
「……別に。」
さらに飲んでる。…あ、全部飲んだ。早っ!
「いやいや、絶対悔しかったでしょ。最後ストレートで来たじゃん(笑)」
よほど自信がないと直球勝負しないし。
「…なによ、子供の頃は一回も打てなかったくせに。」
え?
突然Aの声のトーンが低くなった。
監督がクスクス笑っている。
な、なんなんだ。
コップをがんっとテーブルに置いて、さらにAは話続けた。
「言っとくけど!後5年早く再会してたら、絶対打ち取ってたからね?!そもそもさぁ、そんなバカみたいに身体鍛えてるなんて知らないし。ずるくない?!私は打たれる気ゼロだった!」
めちゃにらんでる…。
って言うか目が据わってる…。
「えと…A?」
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鹿(プロフ) - みなみさん» いつもありがとうございます。励みになります!さて、すべて妄想のオリンピック。そもそも開催されるのか不安ですが、ぜひぜひ選手にはがんばってほしいです!あまりに妄想すぎて、楽しんでもらえているか心配です^^; (2016年6月27日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - いよいよ2回目のオリンピックですね!先日、ソチの映像を見返していて、結果は分っているのにとても緊張してしまいました。平昌では実際にはどうなるか分りませんけど、心の支えになるもの(人)がありますように、と祈るばかりです。氷上練習、始めたようですね。 (2016年6月26日 19時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - じょーすけさん» どのような妄想なのか、非常に気になります!!短い話をぽんぽん上げていくのも、面白かったです。これからはまた…長くなりそうで(笑) (2016年6月20日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» キュンキュンしていただけてよかったです^^ 来シーズン羽生さん大丈夫なのでしょうかね。まだまだ長引いている様子。昨日はフィギュアの雑誌を立ち読みしてきましたー。 (2016年6月20日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
じょーすけ - 本人が結婚の時はショック受けそうですが、またそれを燃料に新たな妄想&萌えを展開する自信あります(笑)連日更新お疲れ様でした。毎日読めて楽しかったです。最後はとても切なくてドキドキしました(≧∇≦) (2016年6月19日 22時) (レス) id: 8a19e780ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2016年6月13日 15時