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【12月29日】3 ページ12

「適当…。」

ダメもとで聞けばいーの。

「俺電話するわ。iPhone貸して。」

番号入ってるでしょ。

Aがセンパイの番号を呼び出して渡してくれた。
プーさんを置いて、iPhoneをタッチして耳にあてる。
何度かコール音をやり過ごす。

ブツッとした音の後に、センパイの明るい声が聞こえた。

「あ、センパイですか?俺です、羽生結弦です。」

俺の声を聞いた後、思い切りテンションの下がった声になった。
あからさまだな。

電話の向こうからの要件を催促する不機嫌な声に、俺はすごーく明るく振る舞ってやった。

「あの、実はですね(笑)…。」

全てを話し終える間、センパイからの相づちは、多種多様の感嘆の声しかなかった。

最後なんて、ちょうぶっきらぼう(笑)
よろしくお願いします。と電話を切って、Aに渡す。

「ずいぶん賑やかな会話だったね(笑)」

どうだった?と笑顔で聞いてきた。
わかってるくせに(笑)

「うん!オッケーだった。明日1時にセンパイのスタジオだって。」

A場所知ってるよね?

「あ、了解!駅の近くだから電車で行こう。」

「手ぶらでいいってさ。」

全部用意してもらうように話をつけた。
信頼のおけるヘアメイクさんを一人呼んでくれるらしい。

「先輩驚いてた?」

「うん。叫んでた。」

「え?!」

たぶん今頃泣いてるな…。
そんな気がする。

「さ、これからどうする?」

とりあえず引っ越しも終わった。

「お腹すいた!お昼まだだもん。」

Aがぐにゃりと崩れながら言う。
そういえば俺もまだだった。

「何か買ってくれば良かったかな。」

「あ、すぐ用意できるよ。その辺で待ってて。」

お、ありがたい。
じゃあ早速今日買った箸出そう。

「何作るの?」

「パスタでいいよね。」

「茹でてかけるだけのやつ?」

「…文句ある?」

…いや、ないです。

「箸要らないじゃん…。」

残念。

「何味がいい?」

「んーと。トマトソース!…ある?」

「あるよー。じゃあ私も。」

戸棚からごそごそ材料を取り出している。

あっ!と、突然Aが叫んだので、何事かとキッチンに駆け寄った。

「どうした?!」

「…いや、そのー。」

トマトソースを手に持って困っている。
…見た目普通のやつだけど?

Aの手から奪って裏返した。

「げ。賞味期限、去年じゃん!」

「…ね。」

…ね。じゃねーだろ。

「他のは?なんかあるでしょ。」

今度は俺自ら戸棚に手を突っ込んで、食品を引っ張り出した。

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鹿(プロフ) - みなみさん» いつもありがとうございます。励みになります!さて、すべて妄想のオリンピック。そもそも開催されるのか不安ですが、ぜひぜひ選手にはがんばってほしいです!あまりに妄想すぎて、楽しんでもらえているか心配です^^; (2016年6月27日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - いよいよ2回目のオリンピックですね!先日、ソチの映像を見返していて、結果は分っているのにとても緊張してしまいました。平昌では実際にはどうなるか分りませんけど、心の支えになるもの(人)がありますように、と祈るばかりです。氷上練習、始めたようですね。 (2016年6月26日 19時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - じょーすけさん» どのような妄想なのか、非常に気になります!!短い話をぽんぽん上げていくのも、面白かったです。これからはまた…長くなりそうで(笑) (2016年6月20日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» キュンキュンしていただけてよかったです^^ 来シーズン羽生さん大丈夫なのでしょうかね。まだまだ長引いている様子。昨日はフィギュアの雑誌を立ち読みしてきましたー。 (2016年6月20日 15時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
じょーすけ - 本人が結婚の時はショック受けそうですが、またそれを燃料に新たな妄想&萌えを展開する自信あります(笑)連日更新お疲れ様でした。毎日読めて楽しかったです。最後はとても切なくてドキドキしました(≧∇≦) (2016年6月19日 22時) (レス) id: 8a19e780ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2016年6月13日 15時

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