【焼き肉】3 ★ ページ49
「それでですね、今日羽生さんを待っている間に、真奈美さんへお手紙書いたんです。」
「手紙?」
まだ続くようだ。今度は何。
Aさん的には推しだから仕方ないのはわかるけど、今は気分的に真奈美さんの話をしたくなんだけどな。
でもそんなことさすがに言えないので、心の中でこっそりため息をつく。
「今回の大会、ハラハラしてわくわくして。ありがとうの気持ちを込めて書いたんです。最後にどかーんと実力が出せたのって、羽生さんのおかげですよね?羽生さんがアドバイスしたからかなーなんて思って。」
Aさんの喜ぶ姿が身に余る。
アドバイスしたけどなんも響かなかったんだよ。
挙げ句の果てに、キスされそうになって逃げたから。
「そうでもないよ。真奈美さんの才能かな。」
「またまたぁ。羽生さんと真奈美さんは、私にとって憧れなんです。お互いを思いやる美しき関係に、本当に癒されます!」
「……。」
すごい勘違いしてる。
今じゃデートしろって脅迫されるくらい弱味を握られてるのに。
もうやだわ。なんでよりによって真奈美さんに俺がAさんを好きなことを知られてしまったのか…。
思い出すだけでテンションが下がる。
「そういえば、今夜はアスカの配信の日だね。」
そんな自分がいたたまれなくなって、最終手段であるアスカネタを出す。
もっと違うアプローチで試合の話をしたかったけど、さすがに仕方ない。
「そうですね!あと4時間後です!」
「すっごい楽しみ。あ、肉焼けたんじゃない?はい、どーぞ。」
タイミング良く食べ物も揃い始めたので、真っ先にAさんのお皿に入れてあげる。
「ありがとうございます!すごーい、美味しそう!」
それをお箸でつまみ、いただきまーす!と元気な声で口に運ぶ姿を見ていると、もやもやも少し晴れた。
「美味しい?」
「美味しー!幸せー!」
緩む頬に下がる目尻。
そうそう、それでこそAさんだ。
今は頭の中から少しでも真奈美さんを排除したかった。
.
148人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» このまま帰ってしまったらお話が続かないので、どうすれば帰らずにすむのか?!そこの流れが次回のお話です^^しかし雨長いですね。お気を付けください! (2021年8月16日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 焼き肉のあとアスカだから帰らないと〜でも帰りたくないな〜(はあと)天気も悪くウィルスも蔓延してますがお体に気を付けて下さい! (2021年8月13日 21時) (レス) id: 8d4c9c3192 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» 本当に好きな推しは、そっと見守るしかできませんよね^^存在自体が尊いので、生きててくれるだけでいいんです。あと、たまに露出してくれると生きてゆけますね!!手紙好評で嬉しい〜〜^^ (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» 恋する羽生さんはこれからどうなってしまうのか。書いてて楽しいです。現実では絶対にあり得なさそうで(^-^)一応これからターニングポイントでしょうか。色々妄想も膨らみます! (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» 星100億個ありがとうございます!私の見解では、オリジナルフラグをはずし忘れた時点で低評価つけるのは、中2病だと思うんですよね。ある程度の年齢の方は評価をしない傾向にあるような…負けないぞ!(笑) (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2021年7月7日 17時