【焼き肉】2 ★ ページ48
“羽生さん、お肉を焼くの上手ですね!”
“そう?”
“表面のカリッとした焼き色が、まるで春風ちゃんの髪の色みたい!”
“ふふふ、実は意識したんだよね”
“さっすがぁ!”
…なわけないか。
気を取り直して少量ずつ置くと、肉の焼ける音とにおいにAさんが前のめりになった。
「わぁー…。」
まるで宝石でも見るみたいに目を輝かせている。
俺的にはご飯を待ってるワンコに見えなくもないけど、でもこれがいい!
「はいヨダレ〜。」
「えっ!」
「ふふふ、冗談。」
「んもー!」
からかったらすっごい悔しそうな表情をされる。
あぁ、かわいい。ぷんぷんしてる顔もかわいい。
「そうやって顔近付けてると顔はねして火傷するから。気をつけて。」
「あ、はい。…そうだ!今日の真奈美さんのフリー凄かったですね!!」
「だねー。俺もびっくりしたわ。」
そんな中、話題は自然とフリーになる。
教え子のまれに見る快進撃に、自分だって興奮したし泣いた。
でも大会中の彼女の言動には、何かと俺自身頭を悩ませるものがあったので、正直思い出したくない気持ちもある。
「もう、一生に一度あるかないかの演技に感動して号泣しちゃいました!」
「うん。」
「これで全日本も確定ですよね!お二人の熱い抱擁に胸も熱くなりましたよ!」
「……。」
Aさんが嬉しそうに話す中、聞き捨てならない言葉が出てきて、肉を焼く手がぴたっと止まる。
熱い抱擁?いや、そこはあえてフューチャーする所じゃないだろう。
それに無意識とはいえ、俺でさえ後で気まずくなったんだ。Aさんはそういうの何も思わないのかな。
推し同士で応援してるから?
わかってても何気に傷付くな。
「もう、師弟関係を超えて特別な関係みたいで…」
「Aさん。」
「はい…。」
「これ焼けてるかな、ちょっと見てよ。」
Aさんからそんな楽しそうに真奈美さんとの妄想を聞きたくなかったので、途中で話を遮り肉に話題を移す。
「えーと…まだですね。」
「そっか。」
生焼けなのはわかっていたけど、これで話題を別の方向に持っていけないかなと、淡い期待を寄せたのだが…。
148人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» このまま帰ってしまったらお話が続かないので、どうすれば帰らずにすむのか?!そこの流れが次回のお話です^^しかし雨長いですね。お気を付けください! (2021年8月16日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 焼き肉のあとアスカだから帰らないと〜でも帰りたくないな〜(はあと)天気も悪くウィルスも蔓延してますがお体に気を付けて下さい! (2021年8月13日 21時) (レス) id: 8d4c9c3192 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» 本当に好きな推しは、そっと見守るしかできませんよね^^存在自体が尊いので、生きててくれるだけでいいんです。あと、たまに露出してくれると生きてゆけますね!!手紙好評で嬉しい〜〜^^ (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» 恋する羽生さんはこれからどうなってしまうのか。書いてて楽しいです。現実では絶対にあり得なさそうで(^-^)一応これからターニングポイントでしょうか。色々妄想も膨らみます! (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» 星100億個ありがとうございます!私の見解では、オリジナルフラグをはずし忘れた時点で低評価つけるのは、中2病だと思うんですよね。ある程度の年齢の方は評価をしない傾向にあるような…負けないぞ!(笑) (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2021年7月7日 17時