【平常心平常心】2 ☆ ページ44
☆主人公サイド
車の中からじっと窓の外を眺めていたら、駅からぴょんぴょんと小走りにこちらへ向かってくる人物が。
「あ、来たみたい。」
それは私の待ち人で、言わずとしれたフィギュアスケーター羽生結弦さん。
ひょんなことからお見合いをし、友人関係に発展した私の最推しだ。
良かった、来てくれた。
同じく気付いた谷山が運転席から外に出て、後部座席のドアを開け彼を迎え入れる準備をするだけで、私の心はうなぎ登りにときめく。
「ごめんなさい、お待たせしてしまって。」
車まで走って来た羽生さんが、息を切らせながら頭を下げた。
謝らないで!むしろ待ってる時間が楽しいのよー!
「いいえ。今来たところですので。」
谷山が私の代わりに答えてくれる。
そうそう。来てもらえただけでも感謝しなくちゃ。
「えと、こんばんは。Aさんもごめんなさい。」
また謝りながら車に乗り込む羽生さん。
どことなく機嫌が良さそうだけど、きっと真奈美さんが頑張ったからね。わかる!
「いいえ。お気になさらずに。」
挨拶もそこそこに。
あまり長くここに留まっていたら、周囲の人に気づかれてしまう。
おじゃまします。と羽生さんにが乗り込むと、谷山が静かにドアを閉め、向かう先は焼き肉屋さんだ。
そうして車が動き出し、羽生さんが私を見てひとこと。
「あ、今日はアスカの髪型?」
さすが羽生さん。すぐに髪型に気付いてくれた。
「そうなんです。今夜から二期だし、大人ウェーブです。」
毛先に触れながら答えると、ふふふと笑われた。
それにしてもすごく久しぶりの生声。やっぱり携帯越しとは違うわ。熱量があってぞくぞくする!
「絶対してくると思った。ちなみに俺はいじりようがないからね。」
そう言ってナチュラルヘアーを耳にかける。
確かに羽生さんは、キャラの髪型が真似ができるほど髪が長くないものね。
「でもそのニット素敵。似合ってますよ。」
「そう?あんがと。Aさんもかわいいよ。」
「えっ。」
かわいい…。
やだ、羽生さんの口からそんなセリフ…。顔に体温が集まっちゃったわ。
社交辞令に舞い上がらないよう、頬をさすり唇をきゅっと結ぶ。
真に受けちゃダメダメ。平常心平常心。
「てか久しぶりだね。元気だった?」
「もちろんです。」
腕まくりをしながらトーンの高い声が車内に響く。
今日の羽生さん、本当に楽しそう。それだけでこっちまで楽しくなるわ。
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鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» このまま帰ってしまったらお話が続かないので、どうすれば帰らずにすむのか?!そこの流れが次回のお話です^^しかし雨長いですね。お気を付けください! (2021年8月16日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 焼き肉のあとアスカだから帰らないと〜でも帰りたくないな〜(はあと)天気も悪くウィルスも蔓延してますがお体に気を付けて下さい! (2021年8月13日 21時) (レス) id: 8d4c9c3192 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» 本当に好きな推しは、そっと見守るしかできませんよね^^存在自体が尊いので、生きててくれるだけでいいんです。あと、たまに露出してくれると生きてゆけますね!!手紙好評で嬉しい〜〜^^ (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» 恋する羽生さんはこれからどうなってしまうのか。書いてて楽しいです。現実では絶対にあり得なさそうで(^-^)一応これからターニングポイントでしょうか。色々妄想も膨らみます! (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 王様じゃんぷさん» 星100億個ありがとうございます!私の見解では、オリジナルフラグをはずし忘れた時点で低評価つけるのは、中2病だと思うんですよね。ある程度の年齢の方は評価をしない傾向にあるような…負けないぞ!(笑) (2021年8月5日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2021年7月7日 17時