輝く水平線5

【お願い！】5　★ ページ36

「だんまりですか。その様子だとコーチの片想いってとこですか。」

鋭い…。
でも俺はAさんにとって恋愛対象外。お互いの良い距離感が出来上がっている中では、これ以上の進展はあり得ないのだ。

そんなことを真奈美さんに説明する義理もないし…。
はぁ…しんどいわ〜。

「だいたいあの人何者なんです？マネージャーとか言いながら地方大会以来来てないし…」

「真奈美さん。」

だんだん声が大きくなってきたので、ここら辺で止めておく。
こんなので動じる彼女じゃないけど、少しは言い返さなきゃやってられない。

「…なんですか。」

「それを聞いてどうしたいの。」

今度は無表情を作り、なるべく感情を抑えながら問いかける。
すると、あまり効果はなさそうな中、真奈美さんが満面の笑みでこう答えた。

「決まってるじゃないですか。内緒にするかわりに一回デート。」

はぁ？なんだそれ。
ある意味脅迫めいたセリフに嫌悪感が増す。

「しない。絶対しない。」

これこそ全否定だ。

「そう言うだろうと思ってました。それじゃあ…」

力強く伝えたつもりが、真奈美的には許容範囲内だったのか、また別の要求を通そうとしたので、いい加減会話を遮る。

「あのさぁ、俺は何もやましいことはしてないわけ。君が何を要求しようと、応える気は一切ないからね。」

呆れと怒りが混じったように。
こんなこと、言わせないで欲しい。

「わかってますよ。ただ、この事を知ってるのが私だけって事は覚えておいてくださいね。」

それでも怯むことなく、弱みを握ったかのように言われ、ため息が出そうになる。

なんで試合後にこんな話をしなきゃなんないのか。
真奈美さんに振り回されることに、心底嫌気がさしていた。






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