【連絡】3 ★ ページ3
奈々美先生のいるリンクに着いたのは、午後3時を少し回った頃。
タクシーから全ての荷物を下ろすとかなりの量で、一度家に寄ってから来ればよかったと後悔する。
しかも、これから学校を終えた子供たちが練習に来る時間帯に突入するので、否が応でも出会うはめになる。
「あっ、羽生結弦だ!」
そして案の定、入り口で小学生に指を差された。
「こんにちは。」
「本物だ!ねぇ、今日滑るの?!」
期待に満ちた笑顔で尋ねるのは、スケート界隈じゃ珍しい男の子だ。
「分かんない。奈々美先生次第かな。」
「4回転アクセル見せて!」
さらに、いまいち噛み合わない会話に苦笑いする。さっきから言いたいことしか言ってないな、この子。
まぁこの年代の子はだいたいそうだから気にしないけど。
「もう現役じゃないから跳べないよ。」
「えー、残念。じゃあ他の4回転でもいいや。」
「わかったわかった。跳んでやるからこの荷物ちょっと持って。」
一人で持つにはやっぱ多すぎた。
「いいよ。」
「ありがと。」
なんだかんだいって、子供は素直でかわいい。
そうしてひとまず事務所へ運んでもらったら、タイミングよく奈々美先生もいて。
久しぶりの再会を喜び合いつつも、早々に俺の心がいまいち晴れてないのを見抜かれる。
「ゆづ、なんだか元気がないけどどうかしたの?」
事務所の一角にある、パーティションで区切られている応接室で向かい合って座り、開口一番、心配されてしまった。
そんな表情に出てるのか。
まぁかなり葛藤しているのは自分でも良くわかっている。
「そんな風に見えます?」
頬をさすりながら少しうなだれる。
長旅の疲れと相まって、かなり疲労困憊なのだ。
「いつもはテンション高いのに。ま、言いたくないならいいけどね。」
「……。」
奈々美先生はいつもそうだ。
師弟関係を解消してからというもの、絶対プライベートに踏み込んでこない。
でももう俺にコーチはいないし、むしろスケートとは全く関係がない事ので、ここは頼ってみるのもいいかと思ったり…。
俺は太ももにぽんと手を置き、投げやりにはっと息をはいた。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 私のイメージは、結婚あまりうまくいかないような気が…。家族にはわがままっぽいから、きっと奥さんにも…^^;ファン第一に考えそう(笑)引退してもスケート中心で家庭をかえりみなさそう(笑) (2021年3月1日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ゆづが幸せなら私も嬉しいです。愛妻家でいてほしい!レディーファーストでいて、決断力がある頼りになる夫、というイメージです。 (2021年2月24日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» なんか、さくっと終わらせるつもりが、長くなりそうな予感^^;10までには終わりたいけど…。寝不足に気を付けつつがんばります! (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 美緒さん» ありがとうございます^^主人公に振り回されてくっつきそうな予感。まだ定まってません(笑)勝手なアンケートでは、国民の9割以上が彼の結婚を祝福できると答えたそう!羽生さん、安心して結婚していいんだよ!^^ (2021年2月24日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - フィギュアスケートのアニメに夢中なお嬢様をスケートでスパルタ指導してみる?頭打ったらまずいか。どうやってくっつくのかなぁ? (2021年2月21日 21時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2021年2月10日 16時