輝く水平線

【連絡】1　★ ページ1

★羽生サイド

『本日も○ＮＡをご利用いただきましてありがとうございました。皆さまと又お会いできる日を客室乗務員一同心よりお待ち申しあげております。』

ＣＡさんの心地良い声が耳に届く。
数時間のフライトを経て、ようやくここ日本に到着した俺は、懐かしい母国語に安堵のため息をついた。

華々しかった現役時代を引退し、しばらく海外で過ごし２９才になった春。
ずっとこっちで暮らそうかなと思った矢先、俺を呼び戻したのは一本の電話だった。

『どうしてもゆづに指導して欲しい子がいるのよ。』

カナダにいる俺にそう連絡してきたのは、トロントへ練習拠点を移すまで指導していただいていた奈々美先生。

恩師でもある彼女は今もなお、仙台のリンクでスケーターを育てている。

そんな奈々美先生からの頼みを無下に出来るはずもなく…。
まぁこれはタイミングによるところも大きいだろう。
実際、こっちの仕事も落ち着き、そろそろ日本に帰りたいなって思っていた頃だったから。

カナダで何人かの選手の指導補助をし、充分経験も積んだ。
引退して約三年。自分のことを追いかけてくるマスコミも減ったと思う。

「もう３０になるし。」

ファーストクラスの座席で日本時間を確認する。
まだ日は明るいので、少々時差ぼけだがこのまま仙台のリンクへ行けそうだ。

奈々美先生にその旨をメッセージで伝え、何気無く窓の外を見ると、海と陸の境界線が目に飛び込んだ。

「ただいま。」

大好きな日本の地に、帰ってきたのだ。






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【連絡】2　★→

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