赤と黒のLiberations16

【御守り】12　★ ページ34

「じゃあ、お姉ちゃんもいつか死んじゃうの？」

「うん。でもまた人間に生まれてくるから。そしたら一緒に遊ぼうね。」

「やったー。」

普段あまり宗教的な話しはしないのだが、Aも人の生き死にについては、ある程度の信念を持っているようだ。

確かに自分たちの事例を踏まえたら、人は人にしか生まれ変わらないと言っていいだろう。

なんだろ。そう考えると、死ぬことが少し怖くなくなった気がする。

「この翼くんも、ひとみくんとお友達になれるよ。」

「ほんとうに？」

「だって、お互いが視えるもん。」

Aが笑ってそう伝えると、ひとみくんが万歳をした。

「うれしいなぁ。ぼくお友達が欲しかったんだ。」

「だから、翼くんが歩けるようになるまで、もう少し待ってね。」

「もう少しってどれくらい？」

「２年くらいかな。雪の季節が二回過ぎたら。」

「うん。わかった！」

こうして二人のやり取りを聞いていると、一つ目小僧がだんだん聞き分けのいい子供に思えてくる。
根は幼い心をもったままの妖怪なのだろうか。

「じゃあ今日はもう遅いしお家に帰ろっか。また２年経ったらここへおいでよ。」

「わーい、楽しみだなぁ。」

その間、翼も泣くこともなく、ただじっとひとみくんを見つめている。

そしてAに言われた通り、ひとみくんが縁側からひょいっと外に出た。

「じゃあまたね。お姉ちゃん、つばさくん。」

「うん、ばいばい。」

帰るんだ。
別れの言葉を告げ、一瞬俺は無視なのかと思っていると…。

「白狐のお兄ちゃん。ぼくを怖がらないでくれてありがとう。じゃあね！」

最後にしっかり手を振って、暗闇へと消えていった。

「な…なんだったんだ。」

ひとみくんがここにいた間、ほぼしゃべってないので少し声がかすれたけど、何もなくてひとまず安堵する。

一つ目小僧は比較的おとなしい妖怪なんだろうか。
それを判断するにはまだまだ材料が足りないぞと思っていると、不意にAが寂しそうに呟いた。

「ひとみくん、昔から変わってない…。」

「え。」

というと？

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