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【お宮参り】4 ★ ページ19

「教えない…。」

「ずるーい。ぼく赤ちゃんと遊ぶの大好きなんだよぅ。」

「人間の赤ちゃんは普通妖怪なんて視えないから。」

Aと俺が晴明と白狐で特別なだけだ。

「でもさっきからその子とずっと目があってる。」

「気のせいだし。」

精一杯虚勢を張るのだが、一つ目小僧の言う通り、確かに翼の視線は目の前の妖怪に釘付けだ。
これは…本当に視えてると思った方がいいか…。

「本当だよ!その子からお姉ちゃんと同じ波長を感じるもん。」

「……。」

波長…?翼も妖怪体質だとでも言いたいのか…。

しかし、これは二人が生まれた時からAも気にしていた事。
遺伝したらどうしようと、妊娠中から常々言っていたくらいだ。

どうするか…。翼はまだ何もわからない赤ちゃんなのに対処のしようがない。

「誰かと思えば一つ目小僧ですか。」

自分だけが緊迫した空気の中、不意に後ろから幾分冷静な声がした。
いきなり妖怪の名を言い当てられるのは、今は一人しかいないので、その声を聞いて安堵のため息をつく。

「天后…。」

「ご主人の叫び声がしたので来てみれば妖怪とは…。」

翔を抱いたまま、一歩ずつ一つ目小僧に近付いてゆくのは、この世の者ではない式神だ。
正直この場をどう切り抜けようかと思っていたので、このタイミングでの登場はとてもありがたい。

しかし一応は俺の味方であるだろうけど、こういう対面はなかなか無いので少し不安感が募る。

「待って、翔を近付けないで!」

「ご安心ください。一つ目小僧は危害を加えるような妖怪ではありません。」

いざとなれば力の差は歴然。と頼もしい台詞が。
そっか、妖怪よりも式神のが強いんだ。

「わぁ、こっちの赤ちゃんは白狐のおにいちゃんと同じにおいだぁ。」

そんな中、不意に一つ目小僧が妙なことを言った。翔が俺と同じ…。

「どういうこと。」

「んーとんーと…。」

上手く言葉に出来ないのか、その場でくるくる回りだした。

「ご主人、恐らく翔さまにはこの妖怪が視えていないかと。」

「そうなの?」

まじか。てっきり双子だから同じように視えているのかと思っていた。

「以前から気にはなっていましたが、翔さまより翼さまの方が晴明さまの血を濃く受け継いでおられるようですね。」

天后が確信したように言う。
そうなのか…。そういえば俺も視えるようになったのは途中からだった。

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鹿(プロフ) - みなみさん» ありがとうございました。妖怪なんて知識ないので、ネットに頼りっぱなしで…。地震のとき、真っ先に羽生さんを心配してしまいますね。どうか無事で! (2021年2月14日 20時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ついに完結ですね。面白かったですよ。妖怪が絡むお話なんてなかなかないと思いますし。  大きめの地震がありました。うちもけっこう揺れましたけど、仙台はもっと強い揺れだったようで、羽生くんが心配。とにかく、みんなが無事でありますように。 (2021年2月13日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 〜空〜さん» 完結がモットー(*^^*)みなさんに楽しんでもらえたかなー。自分でも作品を読み返すのですが、最初は書きやすいのですが、だんだんネタが尽きてくるパターンが多いです(笑)くっつくまでが楽しいんですよねー。また読みに来てくださいね! (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - キャラメル味さん» 最後結構ばたばたと終わらせてしまいましたが楽しんでもらえてよかったです(*^^*)やっぱり羽生さんには女の子だよなーと、妄想してしまいました。兄をサポートするしっかり者の弟。というイメージですかね。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 璃子さん» ご愛読ありがとうございました(*^^*)今回双子にしたのですが、成長するとどっちがしゃべってるのか分からなくなりそうで難しいかも。結局新しいお話を書いてしまい、またしんどくて楽しい生活が始まってしまった…。 (2021年2月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2020年12月16日 18時

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