【こんな時に】9 ☆ ページ9
エンディングの最中は、結弦くんからの意味深なコンタクトはなかったものの、ショーが終わってからも私は気が気ではなかった。
きっとこの後、携帯に激おこメッセージが来て、論破に次ぐ論破に打ちのめされるんだ。
とりあえず土下座して出迎えた方がいいかなと思いつつも、それはさすがにお腹がつかえて無理かなと考えを改める。
「お姉ちゃん、お母さんに連絡したら？」
「えっ！そ…そっか。」
一人座席で恐怖に怯える中、まどかの声で我に返ると、もう周囲のほとんどのお客さんがいなくなっていた。
うぅ…このまま時間が止まればいいのに。
でもそうも言っていられないので、夏祭りのお姉さんたちに続いて私も席を立つ。
そして、お母さんにも相談した方がいいかな…と携帯を取り出そうとかばんに手を入れたとたん…。
「痛っ！」
突然足に強烈な痛みを感じて、そのまま椅子に逆戻りするはめになる。
「お姉ちゃん？」
さすがに私の様子を変だと思ったのか、まどかが、どうしたの？と顔を覗き込むのだけど、あまりの痛さに声が出せない。
「ふ…ぐぐ…。」
な、なんなのこれ…。太ももの付け根がぴっきーんとなって動かすこともままならない。そんな私の肩にまどかが手をかけ、不安そうな声を出す。
「お姉ちゃん、ねぇ、大丈夫なの？」
「……。」
そう言われてもこんなの初めてだから、自分自身も大丈夫かどうかなんて分からない。
声にならない声を上げながらもん絶していると…。
「大丈夫ですか？！はっ！まさか赤ちゃんが生まれるんじゃないですか？！」
まだ近くにいた夏祭りのお姉さんたちが、焦ったように口許を押さえあたふたし出した。
赤ちゃん？まさか…。まだ予定日までかなりあるのに…。
「お姉ちゃん、そうなの？」
まどかの呼び掛けに、知るか！と叫びたいのだけど、陣痛って足からくるものだっけ？と頭のどこかで冷静な自分が問いかける。
そうだよ。お腹じゃないんだから、少し休めば痛みもおさまるはず。
その後、かかりつけの病院へ電話して指示を仰げば…。
今後の段取りを頭の中で整理していたら、誰かが呼んだのか、会場のスタッフらしき人までもが駆け寄ってきた。
「どうかされましたか。」
私を心配してくれる声に、大丈夫ですと返事をしようと口を開きかけた所で、突如として誰かが叫ぶ。
「生まれそうなんです！」
へっ…？
そう自信満々に言い切ったのは…。
チャームをくれた眼鏡のお姉さんだった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» 何を着ても似合う羽生さん＾＾アラビアンには衝撃でしたけど、髪型がもう少し少年ぽかったらよかったかも…。最近オリジンの衣装がポイント高くて、またあんなのきてくれないかなって思います。＾＾ (2020年10月19日 15時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 翡翠色の衣装、ピンクにもなっていましたけど、元のいろは翡翠色なんでしょうかね。色は加工して何色にでも出来るみたいなので。きき湯のカラースーツが元はグレーだったり、ガーナの赤いのが紫にもなってましたね。 (2020年10月16日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» へえ〜。私は今回パウチを買ったのでそれほどたくさん量はないのですが、もともとガムを食べる習慣がないのであげてます。翡翠色の衣装が最高に好きで、また着てくれないかなーと思います＾＾ (2020年10月16日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 最近、メルカリ始めたのですが、食べないガム買うよりも楽に揃えられるので、買っちゃった。この頃あまり余裕をもっての買い物ができないので、ありがたいわ、と思いながら。掘り出し物見つかるとついつい買ってしまいます。売るより買う方が多いな。 (2020年10月14日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» お返事遅くなりすみません！えと、なかなかお話が進まなくて書けてないんです〜＾＾；どうしようかな〜。グッズといえば、マスクケース欲しいよ〜晴明さま！ (2020年10月11日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2020年8月26日 16時
