赤と黒のLiberations14

【女難の相後編】2　☆ ページ41

「じゃあ明日、天后さんにスケート見せてみようか？」

ならばと、何の気なしに提案してみると…。

『それいい！あ、負けた試合は絶対見せんじゃねぇぞ。進化の時…は勝ったかどうかわかんねぇから、平昌オリンピックか２０１７年のワールド！それか２０１９年のスケカナでもいい。』

思いの外良い反応が返ってくるのだけど、早口過ぎていつの試合を言ってるのかすぐに忘れてしまいそうなので、その辺にあった紙を手に取り、急いで走り書く。

「待ってよ！メモするから。」

えっと、ぴょんちゃんと…ワールド…は２０１９年だっけ。これでよし。

『…でもなんかこうして話してると、遠距離だった頃を思い出すわ〜。』

メモを横に置き、再び画面に目を向けると、久しぶりに見るくしゃっとした笑顔に癒される。

「そうだね。」

『Aに会いたい。』

「え？」

『帰ったらハグしまくりたい。』

いつになく嬉しそうに言う結弦くん。
もうカナダと日本みたいに超遠距離じゃないし、２週間後には普通に会えるのに。

「ふふふ。何かあったの？」

『別に。俺の女神はAだけで充分なんだもん。』

そう上目遣いに語る姿は、まるで夢見る少年のようだ。
こんな結弦くん久しぶりかも。

「変なの。結弦くんこそショーは順調？」

『いや…うん、順調。』

「おや、濁すねぇ。」

『何でもないよ。あ、昨日の夜のテレビ見た？』

テレビ？結弦くんが出ていた番組でもあったのかな。唐突に言われても、夜は早めに寝るようにしているのでテレビなど見ない。

「見てないけど、どんなの？」

『や、そっちでは放送してないわ。うん、ごめん。変なこと聞いた。』

「ふーん。」

結弦くんが手を振る。
神戸ローカルでショーの特集でもしていたのだろうか。気が向いたら動画サイトで探してみよう。

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