【女難の相中編】8 ★ ページ38
「あの、羽生さんの奥さまって、日本の歴史が好きなんですか?」
以前とは違い、伺うような言い方に緊張の糸が少しほぐれる。
「あぁ、歴史っていうか…専門は妖怪です。」
だから特別に、内緒ですよ。と人差し指を口元にあて、あざとい羽生結弦をサービスする。
「妖怪?」
「マニアックなんです。僕に似て。でもそこが可愛いっていうか。」
こうして、本当のAを少しだけ伝えれば、これ以上の詮索はしてこないだろうという、いわば賭けのようなものなのだが…。
「私が昨日テレビで言ったこと、怒らないんですか。」
すると冬子さんが昨夜のインタビューにふれた。
俺が子供たちに言い聞かせたことをふまえてのことだろう。ちゃんと気付くなんて、元々は賢い人なんだな、彼女は。
「怒りは何も生みません。むしろこうして話す機会があるのだから、もう普通でいいんじゃないですか。」
「普通?」
「やっぱり共演者同士って、越えちゃいけない線があると思うんです。」
これは持論だけど。
昨夜のように、会っていきなり部屋に呼んだりだとか、よほど意気投合しないかぎり、やっぱりしちゃいけないと思う。
学生じゃあるまいし、一時的な感情だけで懇意にするのは、大人なら違うと思う。
「線…。」
「僕は既婚者ですし、冬子さんは女性です。」
「女性だなんて…。」
もうおばさんです。と冬子さんは言うのだけど、もう年齢などは関係なく、自分の立場としては男女というだけで慎重にならなければならない。
「だから、二人きりで話すときは、周りに第三者がいないとダメです。」
「今みたいに?」
「そうですね。」
ここはリンクだから、何人か練習しているスケーターがいる。
もちろんスタッフさんも、冬子さんのマネージャーさんも。
「でも、羽生さんを見てると年甲斐もなく、その…ときめいてしまうんです。」
「あ、僕のファンの方って、年配の方もけっこういるんです。結婚して減ってしまったかもしれないけど、どんな年代の人でも、応援してくださることは嬉しいです。」
全てのファンは平等だ。
誰かを特別扱いするのは、ある時を境にやらない方がいいと気付いた。
でもAだけは、そのルールを破ってまでも自分の気持ちを抑えることが出来なかったが。
運命は一筋縄ではいかないのだ。まぁこれは今は関係ないので黙っておこう。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 何を着ても似合う羽生さん^^アラビアンには衝撃でしたけど、髪型がもう少し少年ぽかったらよかったかも…。最近オリジンの衣装がポイント高くて、またあんなのきてくれないかなって思います。^^ (2020年10月19日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 翡翠色の衣装、ピンクにもなっていましたけど、元のいろは翡翠色なんでしょうかね。色は加工して何色にでも出来るみたいなので。きき湯のカラースーツが元はグレーだったり、ガーナの赤いのが紫にもなってましたね。 (2020年10月16日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» へえ〜。私は今回パウチを買ったのでそれほどたくさん量はないのですが、もともとガムを食べる習慣がないのであげてます。翡翠色の衣装が最高に好きで、また着てくれないかなーと思います^^ (2020年10月16日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 最近、メルカリ始めたのですが、食べないガム買うよりも楽に揃えられるので、買っちゃった。この頃あまり余裕をもっての買い物ができないので、ありがたいわ、と思いながら。掘り出し物見つかるとついつい買ってしまいます。売るより買う方が多いな。 (2020年10月14日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» お返事遅くなりすみません!えと、なかなかお話が進まなくて書けてないんです〜^^;どうしようかな〜。グッズといえば、マスクケース欲しいよ〜晴明さま! (2020年10月11日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2020年8月26日 16時