【急病人】4 ☆ ページ13
「A。」
「へ…。」
この燐とした声はまさか…。
反射的に振り返ったその瞬間、頭が真っ白になる。
だってそこにはたった今ショーを終えたばかりの結弦くんが、衣装の上からジャージを羽織ったまま座席に手をかけ、真面目な表情で私を見下ろしていたのだから。
「キャー!ゆ、ゆづ!!」
夏祭りのお姉さんが、突然の推しの登場に驚き、手で口許を覆ってしゃがみこんだ。
「お腹痛いの?大丈夫?」
それを、ちょっとすみません。と制して、あくまで冷静さを保ちつつ、私の側まで来て膝まずく夫。
「え…えっと、違うの…ふぐっ!」
そんな結弦くんに対し、なんとか弁明するために立ち上がろうとするのだけど、やっぱりお腹ではなく足が引っ張られたように痛む。
「動かないで。救急車まだですか。」
「もう到着すると思います。」
こんな私を前に結弦くんも驚いているだろうに、それを見せないどころか周りのざわつきをものともせず、優しく私の手を握りお腹をさすってくれる。
「A、あとちょっと頑張って。大丈夫だから。俺がついてる。」
「結弦くん…。」
さっきまであんなに会うのが怖かったのに、こうして側にいるだけでなんて心強いんだろう。
心配をかけて申し訳ないと思いつつ、色々ごめんね。と上目遣いに一言告げると…。
「バーカ、全部気付いてたよ。」
「うん…。」
やっぱりという気持ちと、秘密のままにしていたかった気持ちとが交錯する。
そんな中、救急隊の方が担架を持ってやってきた。
野次馬の対応などに加え、それにてきぱきと指示をするのはもちろん結弦くん。
私はというと、立てないけど今お腹は痛くないと答えるのが精一杯だ。
そして、あれよあれよという間に担架に乗せられる。
78人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» 何を着ても似合う羽生さん^^アラビアンには衝撃でしたけど、髪型がもう少し少年ぽかったらよかったかも…。最近オリジンの衣装がポイント高くて、またあんなのきてくれないかなって思います。^^ (2020年10月19日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 翡翠色の衣装、ピンクにもなっていましたけど、元のいろは翡翠色なんでしょうかね。色は加工して何色にでも出来るみたいなので。きき湯のカラースーツが元はグレーだったり、ガーナの赤いのが紫にもなってましたね。 (2020年10月16日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» へえ〜。私は今回パウチを買ったのでそれほどたくさん量はないのですが、もともとガムを食べる習慣がないのであげてます。翡翠色の衣装が最高に好きで、また着てくれないかなーと思います^^ (2020年10月16日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 最近、メルカリ始めたのですが、食べないガム買うよりも楽に揃えられるので、買っちゃった。この頃あまり余裕をもっての買い物ができないので、ありがたいわ、と思いながら。掘り出し物見つかるとついつい買ってしまいます。売るより買う方が多いな。 (2020年10月14日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» お返事遅くなりすみません!えと、なかなかお話が進まなくて書けてないんです〜^^;どうしようかな〜。グッズといえば、マスクケース欲しいよ〜晴明さま! (2020年10月11日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2020年8月26日 16時