【夏の再会】10 ★ ページ10
神社への帰り道、少し長い登り坂になっている場所は、街灯も少なくかなり薄暗い。
「羽生くん、足元に気を付けて。」
「うん。てかそんな心配しなくても大丈夫だよ?」
「慣れない下駄で足を捻ることもあるんだから。今はアスファルトに舗装されてるけど、昔は土がむき出しで歩きにくかったんだよ?私だって小さい頃…あ。」
「何?どしたの。」
突然Aが何かを思い出したように立ち止まったので、自分も思わず歩きを止める。
「えっと…なんでもない。」
「なんだよ、ちょう気になるな。途中でやめるとかすっごく感じ悪いんですけど。」
言いかけて、すぐに歩きだすAの後を追いかけるように付いていくのだけど、勢い余って一瞬追い越してしまった。
「別にたいしたことじゃないよ。」
「たいしたことないなら言えよ。」
ターンしてまた二人並ぶ。
どうせなら会話しながら歩いた方が楽しい。するとAが少し悩んでから口を開いた。
「…そう言えば昔、ここでちょうちん小僧に会ったなって思い出したの。」
ん?ちょうちん小僧…。
「え、それって妖怪の?」
「うん。」
前にどっかで聞いたことあるなと思いつつ、斜め上を見ながら記憶をたどる。
「あ、妖怪カルタの時に言ってたやつ?まさか本当に会ってたの?!」
「うん。小学生の頃、とんど祭りの帰りにこの坂道を歩いていて出会ったの。あの時もこれくらい暗かったから、歩きにくかったなーって思って。」
まじか!
改めてAが妖怪体質だったことにリアルに驚く。
「…あれ?つかA、初恋の相手がちょうちん小僧とか言ってなかった?」
そうだ。あの時何気にすごいことをカミングアウトしたんだ。
カルタをした時の会話の内容を頭の中で整理していると、不意にAが苦笑いをしながら、再び小走りに数歩前へ出た。
「あ、覚えてた?あははー。」
「逃げんな。つか詳しく聞こうか。」
それを咄嗟に手で捕まえて。
近い将来、妻になる人の初恋なんて興味ありありだ。
「本当に何でもないんだよ?ただの片想いだし。」
「あったら怖ぇわ。で?どんな所が好きだったのよ。」
これが嫉妬なのか何なのかは考えたくもないが、自分以外の人間…いや、妖怪に興味をもった経緯を知りたい。
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鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時