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【夏の再会】8 ☆ ページ8

「俺さ、自分の子供にスケートさせたくねぇの。」

「え。」

「想像以上につらい世界だから、きっとさせられないと思う。」

「……。」

消え去りそうな声だけど、はっきりと私の耳に届いたその内容に、彼が今までどんな気持ちを抱えてスケートをしてきたのかを想像する。

どんなに才能に恵まれていても、努力なしに今の栄光は成し得なかっただろうし、それ以上にどうしようもなくつらいことが、きっとたくさんあったはずだ。

「大好きなスケートでつらい想いすんのは、自分だけでいいよ。」

そして遠くを見つめながら、ため息のような独白をする。

そんな羽生くんを見ていると、逆に今まで彼が切り開いてきた人生を、絶対に無駄にしちゃいけないと強く思う。

おこがましいけど、つらい記憶から解放してあげたくなる。

「でも、可能性は無くはないよね。」

「ん?」

「子供が授かれるかどうか分からないけど、もしその子が羽生くんのスケート見て、自分もやりたいって言ったら。それは止められないよね。」

だから、未知なる希望を抱かずにはいられない。

「言うかな…。」

「言うよ。だって、羽生くんの素晴らしい演技がこの世にたくさん残ってるもん。一番輝いている時の羽生結弦が、その時代ごとに世界中に溢れてるんだよ?」

歴史を刻んできた王者の子供が、そのスケートを見て何も感じないわけがない。
きっと羽生くんと同じように、負けず嫌いの血がさわぐだろう。

「あはは。まぁとにかく、子供ができたら好きなことをさせてやりたいな。でもまだ影も形もないんだし、ゆっくりやってこ。」

「そうだね…。」

結婚式さえまだなのに、子供の話は気が早かったかな。

「俺まだもう少し、Aと二人でいたいよ。」

すりすりと私の髪に頬擦りするしぐさが、まるで子供のようでもあり…。

「ねぇ、子供は何人欲しい?」

「そうだなー…。Aが無理なく生める範囲で。」

そんな夢を語りながら、私も彼の胸に身を預けて。

何とも言えない幸せをかみしめていると、夜空に一発の花火が上がり、大輪の花が咲いた。

「わぁ、きれい…。」

一瞬、辺りを照らす光が私たちを包む。
まるでこの世に自分たちしかいないような錯覚に陥っていると、不意に私の左の頬にやわらかいものが触れた。

それが羽生くんからのキスだと気づく頃には、いくつもの花火が夜空を埋めつくしていた。




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鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時

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