【門出】13 ☆ ページ27
「俺は東京で仕事だから、仙台駅まで送ってくれたらなーって思ってる。」
「えっ、いきなり仕事?!」
しかも東京なんて普通に遠い。
「ちなみに泊まり。」
……。
そこそこ大きな仕事なのだろうか。
送迎くらい問題ないけど、新生活の出鼻を挫かれる勢いにテンションが下がる。
「んもー、そういうことは早く言ってよ〜。」
「結婚式で忙しくて言うの忘れてたんだよ。」
「新婚早々ひとりぼっち…。」
「ごめんって。お土産買ってくるから。」
そんな風に小首をかしげて言われても、もう狐耳が無いから可愛さ半減だ。
「私お風呂入る。疲れたし。」
でも仕事じゃ仕方ない。
脱力した身体を奮い起たせ、バスルームへ向かう。
今日はずっと動きにくい服装だったのて、早くパジャマに着替えたいのだ。
「あ、俺も一緒に入るー。」
「だーめ。今日は疲れてるから1人でゆっくり入りたいの。」
「けちー。」
「けちじゃない。」
子供みたいに口を尖らせるの夫をやり過ごし、自分の着替えを準備する。
「じゃあおとなしく待ってるから後でご褒美ください!」
「は?」
ご褒美…。
突然の年不相応な言葉に思わず振り返ると、羽生くんが両手を差し出し、枕を抱えたまま満面の笑みを浮かべていた。
というか27才にもなってそんなポーズするんじゃない!
「なかなか二人きりとかないもんね。今日は誰にも邪魔されないから、Aにあんなことやこんなことしてもらっちゃう。」
「……。」
それが結婚した夫婦が初めて迎える夜のことを指しているのはわかるけど、そんなに笑顔で言うことか。
「早く上がってきてね。俺寝ちゃうかもしんねぇから。」
「それならそれで構わないよ?私、長風呂だし。」
「いじわるー。お前ほんっとに男心の分からんやつだな。」
そんな中、枕に顔を半分うずめて拗ねだしたので、これ以上の悪ノリはまずいと思い、咄嗟に譲歩案を提示する。
「冗談だよ。後で羽生くんが泣いて謝るくらいご褒美あげるから、覚悟しておいてね。」
「お、言うねー。負けないよ?」
すると今度は目を見開いて、根っからの勝負師が顔を覗かせる。
「こっちこそ。」
そうして。
私たちの夫婦生活が始まったのだった。
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鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時