【夏の再会】11 ★ ページ11
「えー?なんかぁ、優しい所?」
「俺よりもか。」
「ドSな羽生くんと比べちゃだめだよー。」
…な、ん、だ、と?
笑いながら言われたその言葉に、軽く怒りのスイッチが入る。
「そんなこと言うのはどの口?見せてみ。」
「きゃー!怖〜い!」
「待てこら。」
俺の手を振り払い、再び走り出したAを捕まえようとしたのだけど、伸ばした右手が見事に空振りする。
そしてそのまま本気の追いかけっこに突入しようとしたその時、前方にほんわりとした灯りが現れた。
懐中電灯?にしてはゆらゆらしてる…。
なんにせよ、こんなじゃれてる姿を他人に見られるのはすっごい恥ずかしいので、俺は走る速度をゆるめ、あくまでも通常っぽく振る舞う。
Aをこらしめるのは、相手とすれ違ってしまってからだ。
それまでは無言のまま平然を装い、自分のペースで颯爽と歩かなければ。
まず少し先にいるAがその灯りをやり過ごす機会を伺っていると…。
「お姉ちゃん、こんばんは。」
「へ?」
なんと向かってくる人に話しかけられ、前方のAが立ち止まって間抜けな声をあげた。
知り合い…?もしもそうならば、婚約者である自分がこのままスルーするわけにはいかない。
俺はAに追い付いた所で、挨拶だけでもしておこうと、よそ行きの声で対応する。
「こんばんは。」
「……。」
あれ?おかしいな。せっかくこっちから声をかけたのに、相手はAと向き合ったままで返事がない。
聞こえなかったのかな。
一体どんな人だろうという好奇心も相まってさらに近くへ寄ると、相手の身長がかなり低いことと手に何かを持っている事に気付く。
子供か…。てかこの先には神社しかないのに、どうしてこんな所に他人が…。
「お姉ちゃん、こんな暗い道、危ないよ。僕が、照らしてあげるね。」
とても子供の出歩く時間でもないので首をかしげていると、その子が片言のしゃべり方をしつつ、Aを先導するように歩きだした。
良く見たら、この子が持っているのはちょうちんだ。
99人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時