【夏の再会】1 ☆ ページ1
☆主人公サイド
「そんな落ち込みなさんなって。」
「だって…。」
射的を後にした私たちは、激しく落ち込んでいた。
いや、正確には私だけが…だ。
とぼとぼと肩を落として歩く私を、再び狐のお面を着けた羽生くんがさっきからずっと励ましてくれるのだけど…。
「残念賞の飴もらったからいいでしょ。」
「でも1個くらい取りたかった…。」
コルク5個で200円だった射的を二回やって、それでも一つも景品を取れなかったなんて、下手にも程がある。
「鳥のぬいぐるみとプーの置物あげたじゃん。」
「自分で取ることに意味があるの。」
「もう一回すればよかったのに。」
「他のお客さんに並ばれたら、譲らなきゃ悪いもん。」
羽生くんの存在がバレるのも困るし。
「また来年。な。」
「あーあ、羽生くんにはどうやっても敵わないよ…。」
結局勝負にもならなかったし、そもそも私が羽生くんより勝っているものなんて何一つない。
現世の安倍晴明は所詮、親である白狐には足元にも及ばないのだ、きっと。
「大丈夫、また教えてあげるから。ねねね、それよか喉渇かない?」
ん…?そう言えばさっき興奮して声を出しすぎて、喉がからからかも。
「私買ってくる。羽生くん何がいい?」
もう射的の話題は封印だ。
お面をしていてもかなりの有名人な彼に、一応どこかで待っててもらおうと、人気の無い場所を探す。
「お祭りといえばラムネじゃない?あれトロントには売ってないんだよ。」
「そうなんだ。」
今日はとことん日本を味わいたいのかな。
私自身、ラムネなんて久しぶりだから、なんだか子供の頃に戻ったみたいだ。
「あっちにラムネあった。行こ。」
「え、待っててくれていいよ?」
「なんで?一緒に行けばいいじゃん。ほら。」
気を利かせたつもりだったのに、羽生くんが普通に手を繋いでくれた。
しかもそのまま歩きだすのかと思いきや、私の手をすっと持ち上げて、羽生くんの腕へちょんと導かれる。
「…これ。」
「はい。デートだからね。離さんでね。」
「……。」
たくさんの人混みをかき分け、彼氏と腕を組んで歩く。こんな日が来るなんて、まるで夢でも見てるみたいだ。
羽生くんの表情は分からないけど、ものすごく照れる。
99人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - るりさん» そうなんです。くっついてしまうとなかなかハラハラドキドキがなくてお話がまったりしてしまうんです。果たしてどちらの方がいいのか悩むところですが…。^^;桃色は、どうやってそっち方向に繋げるか…難しいですね(笑) (2020年4月26日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - コロナで日常の有り難みを感じてます。元気でいるといいなぁ。何気ない新婚生活いいですね^ ^妄想万歳!桃色の方もまた読みたいです^ ^元気にしてるといいですね、、、!!移行楽しみです。 (2020年4月25日 15時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» ロス期ですね^^;妄想するしかないので、してますけど、面白く書けてるか心配。。。新しく書くほどネタもないので、どうしようかな〜 (2020年4月22日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - こんな時は散髪にも出掛けたくないんじゃないかな?と思うので、久しぶりにお母様が切ったかもと、勝手に思っています。報道ステーションのはだいぶカットされていたから、改めて動画見ました。ZEROでも見られたけど、録画しそびれました。 (2020年4月18日 15時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» いつも、髪は誰が切っているのかなと思ってますが、もうお母さんではなさそうな…。買い物とか大丈夫かなあ〜。心配はつきませんね^^;しかしニュースが羽生さんばかりでもう、スターやなって思いました! (2020年4月18日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2020年3月21日 20時