【最低最悪】5 ☆ ページ45
「…どうして。」
「あんな世界的スター、浮気するに決まってるじゃん!」
「はぁ?!」
浮気…。世間体云々とかより、まずそこから斬り込むのかと、見解の違いにかなりの相違を感じて唖然としてしまう。
「めちゃくちゃモテる男だから、相手なんて選り取り緑だぞ。」
「ありえないよ!」
答えるのもバカらしいけど、この二年間、羽生くんは一度だってそんなことしなかったし、いつだって私のことを大事だと言ってくれた。
スケートに一生懸命でそれどころではないといえばそうだけど、冗談も休み休み言えと、コウくんに対して沸々と怒りが増す。
「そもそもさぁ、彼女と別れてすぐに次って考えるコウくんの方が浮気しそうだよ。」
はしたないと思いつつも、つい吐き捨てるように言ってしまった。
そうだ。今気付いたけど、冷静に考えてみれば、浮気は浮わついた心なのだ。
真面目に生きてきた羽生くんには、一生無縁の言葉だ。
「俺はもともとA一筋だ!」
「知らない。羽生くんを悪く言う人は、たとえコウくんでも許さないから。」
昨日、しつこいのが一途だなんて、ちょっとでも想像した自分がうらめしい。
「それって、恋人同士だって認めるんだな。」
「そういう問題じゃないから。」
コウくんの言葉がいちいち的外れで嫌になる。
私がこの二年間で見た羽生くんは、いつも誠実で思いやりがあって優しくて…まぁ時々ドSだったけど、気遣いの塊だった。
そりゃ試合前はナーバスで機嫌が悪い事もあったけど…。でもそんなのアスリートなんだからあたりまえだし。
試合が終わったら、結果が良くても悪くても真っ先に連絡くれて、喜び合ったり慰め合ったりしてきたんだから。
「……あれ?」
ふとそんな過去のやり取りを思い出して、ハッと息を飲んだ。
そうだよ…。私は、私しか知らない羽生くんをいっぱい見てきた。
そんな中では、国民栄誉賞も金メダルも何も意味をもたない。
彼が注目される存在であることは間違いないけど、そんなの私の前ではほとんど感じさせなかったし、何より普通の印象しかなかった。
アニメや漫画の他愛もない会話で盛り上がったり、好きな音楽の話ができる、どこにでもいる青年だ、彼は。
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鹿(プロフ) - 果歩さん» ありがとうございます!なんだかプログラム変更とか??真実なのかはわかりませんが、和風っていいですよね!更新がんばります! (2020年2月2日 11時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
果歩 - マリッジブルーも羽生君のおかげで解決かな?幼なじみ君早くあきらめてくれればいいのに。笑 次回はどうなるか、またまた楽しみです。 (2020年2月1日 14時) (レス) id: 7087569446 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» もっとブルー感を深く掘り下げたらいいのかなって思うんですけど、なんかすぐに立ち直りそうな予感。最近ストックがないので、リアルタイム更新でお待たせしてます〜m(__)m (2020年1月25日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - shifuさん» ありがとうございます!褒めてもらえてうれしいです!更新する度にめっちゃドキドキしてるんですよ〜(;´・ω・)楽しんでもらえたら何よりです^^ (2020年1月25日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 主人公ちゃんマリッジブルーかぁ、、。早く2人の気持ちがまた近づくといいですね、続き待ってます!! (2020年1月25日 6時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年12月26日 16時