【それでも好き】5 ☆ ページ5
結局、羽生くんの欲しいものは、金額的に私の手が出ない物ばかりで、全然決まらないままにお分かれの時間になってしまった。
『風邪ひくなよ。』
「うん。羽生くんも。」
そしてお互い寒い地方に住んでいるので、最後は自然と体調管理の話題で終わる。
そんな中、不意に羽生くんが今後の予定について触れた。
『全日本終わったらちょっと時間あるし…。年末か年始、お参りがてら行けたらそっち行こうかな。』
え…こっちへ来る?
日本にいる間なら可能だと言う羽生くん。普通に考えたらとても嬉しい事なのだけど、ちょっと待って。
「だめだよ!」
『え、何で。』
私が即刻断ったので、不思議そうに尋ねられる。でもその理由は明白だ。
「年末年始は死ぬほど忙しいの。羽生くんの相手をしてる暇なんてないんだから。」
神社にとって年に一度のかき入れ時…というのは言い方が悪いけど、アルバイトを雇わないといけないくらいの忙しさなのだ。
それこそ24時間朝昼番、ひっきりなしに走り回っているだろう。
『あ、神社だもんな。』
「大晦日から三が日は参拝客が多くて身動きとれないんだからね。」
いくらしがない神社とはいえ、お正月はそれなりに参拝客が多い。
御神酒を振る舞ったりお守りを準備したり。食事をする暇もないので、いつも2キロは痩せる。
『じゃあ一週間くらい経ってからは?』
「それくらいなら大丈夫だけど、土日は無理かな。」
休みにはお正月仕事をしていた人たちが来るから。
『そっか。でもトロントに行くまでに一回くらい会いたいわ。』
「それは私もだけど…。まどかと鉢合わせしないか心配だな。」
『あ、それはまずい。』
鉢合わせ=拡散。六年生の口は驚くほど軽いから。
「お母さんたちは大歓迎だと思うけど。」
『あら、それは嬉しい。』
実は札幌から帰ってきて一番戸惑っている事の一つが、お母さんの機嫌がやたら良いこと。
お見合いの件は絶対怒られると思っていたのに、なんとそれさえも解決済みで正直拍子抜けしたほどだ。
何か良いことでもあったのかと勘ぐってしまった。
「宝くじでも当たったのかな…。」
『え?何。』
「ううん、なんでもない。」
さすがにそれはないかなと、首を横に振る。
『じゃあほんとに切るからね。』
「うん。あ、25才の羽生くんも大好きだよ!」
『ふふ、なんだよそれ。』
その含み笑いに、羽生くんのくしゃっとした笑顔が浮かんだ。
.
113人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 果歩さん» ありがとうございます!なんだかプログラム変更とか??真実なのかはわかりませんが、和風っていいですよね!更新がんばります! (2020年2月2日 11時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
果歩 - マリッジブルーも羽生君のおかげで解決かな?幼なじみ君早くあきらめてくれればいいのに。笑 次回はどうなるか、またまた楽しみです。 (2020年2月1日 14時) (レス) id: 7087569446 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» もっとブルー感を深く掘り下げたらいいのかなって思うんですけど、なんかすぐに立ち直りそうな予感。最近ストックがないので、リアルタイム更新でお待たせしてます〜m(__)m (2020年1月25日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - shifuさん» ありがとうございます!褒めてもらえてうれしいです!更新する度にめっちゃドキドキしてるんですよ〜(;´・ω・)楽しんでもらえたら何よりです^^ (2020年1月25日 8時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 主人公ちゃんマリッジブルーかぁ、、。早く2人の気持ちがまた近づくといいですね、続き待ってます!! (2020年1月25日 6時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2019年12月26日 16時