【壁の先】9 ★ ページ36
「今すぐどうこうということはないです。僕もまだスケートをやめないですし、将来的なプランは何も立ってないです。」
『では?』
「引退するまでの間、Aさんを誰にも取られたくないんです。」
今はただ恋人として、特別な関係でいたいのだ。
結婚できないから一旦別れるとか、試合に集中したいから会わないとか。そういう見切った付き合い方はもうしたくない。
Aは、羽生結弦という存在を確固たるものにしてくれる人だ。
遥か昔、晴明と白狐だった頃から、また時を越えて巡り会えたのが運命だとするならば、俺は九尾にさえも感謝するだろう。
そんな決意を新たにする中、お母さんがぽつりと呟いた。
『…あの子はああ見えて、優しい子なんです。』
「知ってます。」
優しくなきゃ、自分が九尾に取り憑かれていることを教えてなどくれない。
『…Aをよろしくお願いします。』
お母さんの声が、頭を下げている姿が目に浮かぶように、自分の心にしみわたる。
それに、はい。と返事をして。
「あ、このこと。Aさんには内緒にしててくださいね。まだ結婚とか、何も伝えてないので。」
自分だけが先走っている事を伝えつつ、それでも明るい未来になるよう、心の中で願う。
『分かりました。後継ぎに関しては、どういう方法が一番良いのか、こちらでも少し話し合ってみます。』
「お願いします。…あと、Aさんを怒らないでくださいね。お見合いのこと、結構気にしてたので。」
『勿論です。』
良かった。お母さんと話せて、少し胸のつかえが取れた。
それから念のために連絡先を交換して。
終始和やかに、電話を切った。
「あ、携帯のマナーモード解除しといてやろ。」
鞄に戻すついでに、親切心から軽く操作する。
相変わらずパスワードかけてねぇな。
そんな無用心なやつには、ついでにボリュームを最大にして…と。
ふふふ、あいつ着信と共にひっくり返るぞ。
そんないたずら心に火がついたのだった。
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鹿(プロフ) - 心菜さん» きっといつか喜びの涙になりますって^^羽生さんも人間なんですよ。神や聖人君子でもないから。きっとまた笑顔で試合に出てくれますって^^ (2019年12月26日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 残念だったけど、それで何かが変わることなんてない。ましてや応援する気持ちは増すばかりです!たくさんツイートが流れる中、どれが本当なのか分からないのに、よく想像でそんなことが言えるなと思うことばかり。つくづくツイッターは発言する場所ではないと思います^^ (2019年12月26日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 男子SP ,MOI 参戦の為、今ごろでごめんなさい。主人公ちゃん幸せそうで良かった(///∇///)まだ感情が元通りではないので、つい涙が( ;∀;) (2019年12月26日 13時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 全日本、女子も男子も後半は応援に熱が入って疲れました。SPの駿くんもよかったけど、FSの鍵山くんに大興奮してしまいました!素人目にも上手い!と思いました。そしてゆづのあまりのボロボロな様子・・・。EXで笑顔が見られてホッとしました。お疲れ様でした。 (2019年12月25日 0時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 羽生さんのスケートは見てて本当に緊張する^^;やっぱりしょーまさんがいなきゃつまんないですね!ほかのみんなはミスが多かった。駿くん、羽ばたいてほしい!後輩もっと育ってほしいな〜^^ (2019年12月21日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年12月3日 16時