赤と黒のLiberations8

【後悔】2　☆ ページ23

「でも、羽生くん以上に人を好きになれるかな…。」

これまで恋愛など縁がなかった私は、今人生で一番ときめいている。
いつか別れることにはなるけど、大好きな人と過ごした時間をなかったことにはしたくない。
だとすれば、ここはやっぱり進むべき…？

「わーん！どうすればいいの〜！」

ベッドに突っ伏しつつ頭を抱える。

待って？そもそも羽生くんにそんな気あるのかな。
ドＳだけど、シャイな所がある人だし、前に経験ないって言ってたよね。

スケートの試合が終わったばっかりだから、疲れてすぐ寝ちゃう可能性も捨てきれない。

今日もエキシビションであんな天使プログラムを滑った後だし、そんな下心みえみえなことするかな…。

「はっ！パーキングエリアで一度危ない展開になってる…。」

どうしよう…。
自分の貞操を守ることを優先するべきか、羽生くんが望んだら一緒に進むべきか…。

でも前者を選んだ場合、断ったら次はないと思った方がいい。
真面目な羽生くんのことだから、もしかしたらここでさよなら…なんてことになるかもしれない。

「それだけは嫌だ…。」

まだ羽生くんと別れたくない。
じゃあ受け入れるしかないかも…。

「でもこういう消去法的な考え方って、羽生くんが一番嫌う考え方だよね…。」

そうだ。彼ならきっとこう言うはずだ。
自分が今、どうしたいのか。

人生で大切なのは、一瞬一瞬を全力で生きること。
大人になって、いろんなしがらみができても、時には本能に従うことも大事かもしれない。

「私こそ…羽生くんとどうなりたいんだろう…。」

誰もが通る道だから、一番大切なことってなんだろうと思う。

「シャワー、しながら考えようかな…。」

無駄にそわそわしていた。





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