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【幸せな時間】2 ☆ ページ12

☆主人公サイド

羽生くんと抱き合ったまま、背後に壁が来るまで追い詰められ、身体を押し付けられる。

そして半年ぶりの羽生くんの感触と匂いに、懐かしくて嬉しくて涙がこぼれる。

「羽生くん…羽生くん…。」

本当はずっと迷っていた。
呼ばれたからといってここへ来て良いのかと、Sホテルの前を何度も行ったり来たりして。

それでもやっぱり大好きな羽生くんに一目会いたくて、結局エレベーターに乗った私なのだけど、ノックするのも戸惑うほど、自分のお見合いの結末を彼に報告するのが怖かったのだ。

でも羽生くんが目の前に現れた瞬間。そんな迷いも吹き飛ぶほどに、気持ちの針が大きく動いた。

今こうしてキスしてる合間も、本能がお互いを求めてしまう。

そして行き場なくさ迷う手を彼の背中に回した所で、羽生くんがさっと身を引いた。

「やば。」

冷静さを取り戻したのか、私の肩に手を置いたままうつむく。

「……。」

どうしたのかなと黙って見守っていると、不意に羽生くんがにっこりと笑顔になって、今度はゆっくりと私を抱きしめてくれた。

「ただいま。」

「あ、えっと…おかえり。」

選手同士がハグするように、ぽんぽんと背中を撫で合いつつ、後回しになった挨拶をしてから、羽生くんが床に落ちた私の鞄と携帯を拾ってくれる。

「元気だった?とりあえず中入りな。あったかいお茶淹れたげる。」

「う、うん…。」

いつもの羽生くんに戻った…。
内心少し残念に思いながらそのまま素直に後ろを付いていくと、中は私が泊まっていたビジネスホテルより広い部屋の造りで、ジャージが無造作に置かれている以外、非の打ち所がないほどに整頓されていた。

「どした。ソファーあるから座りな。」

ホテルとはいえさすがのグレードだなとぽかーんとしていると、間抜けな顔を見られそうになって慌てて口を閉じる。

恥ずかしい…。ともあれ、外は昼間と比べてかなり寒く、身体がカチカチに固まっていたので、お言葉に甘えてくつろがせてもらう。

「よいしょっと。はぁ、疲れたー。」

「でた、おっさんのセリフ。」

コートを脱いで座っただけで、部屋の隅でお茶を用意している羽生くんにけらけら笑われる。

「ふんだ。」

再会して5分以内にもう嫌味が飛んでくるとは…。でもそれすらもなんだか愛おしく感じるから、私は正真正銘のドMなのかな。

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鹿(プロフ) - 心菜さん» きっといつか喜びの涙になりますって^^羽生さんも人間なんですよ。神や聖人君子でもないから。きっとまた笑顔で試合に出てくれますって^^ (2019年12月26日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 残念だったけど、それで何かが変わることなんてない。ましてや応援する気持ちは増すばかりです!たくさんツイートが流れる中、どれが本当なのか分からないのに、よく想像でそんなことが言えるなと思うことばかり。つくづくツイッターは発言する場所ではないと思います^^ (2019年12月26日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 男子SP ,MOI 参戦の為、今ごろでごめんなさい。主人公ちゃん幸せそうで良かった(///∇///)まだ感情が元通りではないので、つい涙が( ;∀;) (2019年12月26日 13時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 全日本、女子も男子も後半は応援に熱が入って疲れました。SPの駿くんもよかったけど、FSの鍵山くんに大興奮してしまいました!素人目にも上手い!と思いました。そしてゆづのあまりのボロボロな様子・・・。EXで笑顔が見られてホッとしました。お疲れ様でした。 (2019年12月25日 0時) (レス) id: e2f297e7a8 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 羽生さんのスケートは見てて本当に緊張する^^;やっぱりしょーまさんがいなきゃつまんないですね!ほかのみんなはミスが多かった。駿くん、羽ばたいてほしい!後輩もっと育ってほしいな〜^^ (2019年12月21日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年12月3日 16時

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