赤と黒のLiberations7

【スケートカナダ】4　☆ ページ4

☆主人公サイド

羽生くんにとってのグランプリシリーズ初戦であるスケートカナダが開幕し、私とまどかは揃ってテレビに釘付けだ。

お見合いの件は今だけひとまず置いておいて、待ちに待った彼氏の登場に、わくわくが隠せない。
そんな中、割と穏やかな表情で足早にバックステージを歩く羽生くんは、本当に隙がなくかっこいいのだが…。

「白狐の貫禄が増してる…。」

「え、何？お姉ちゃん。」

「ううん！なんでもない。」

危ない…。あまりにも立派な狐の姿に、まどかの前だというのに思わず彼の秘密を声に出てしまった。

ふさふさの尻尾は真っ白な耳と相まって、神々しささえ感じる。…まぁ髭はかわいい部類だけど。

そんな中、今シーズンこそはと抱負を語る彼。
数日前にテレビ電話で話してはいたけど、こうして鮮明な画面を通して全身を拝むと、羽生くんが一味も二味もかっこよく見える。

頑張って…。羽生くんなら絶対ショート１位通過間違いなし！
私は祈るように胸の前で手を合わせる。

「でもさー。どうせならライブ放送すればいいのにね。」

「結果は言わないでよ！私まだ知らないんだから！」

さらに手に汗を握っていると、まどかが冷めたように呟いた。
そうなのだ。日本じゃスケートカナダは当初から録画放送と決まっており、試合は日本時間の今日お昼前、とっくに終わっている。

開幕前のスポーツニュースでは、今回はあえて難しい４回転には挑戦しないと言っていたけど、あんなに血気盛んな羽生くんがよく納得したなと思う。

今頃当の本人は明日のフリーに向けてホテルで休んでいる頃だろう。
さすがに試合期間中は連絡などしてこないから、私はネットの情報を封印し、今に至るのだ。

「私は朝にライストで見てたから結果は知ってるんだけどぉー。」

「絶対言わないで。言ったら叩き出すから。」

再度まどかに忠告しておく。
これだから子供はスポーツの楽しみ方を知らないな。

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