検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:89,169 hit

【スケートカナダ】15 ☆ ページ15

☆主人公サイド

強引に羽生くんとの通話を切ってから、少しずつ時間が経つにつれ頭が冷静さを取り戻してゆき、自分のした事の重大さに怖くなる。

どうしよう…。
羽生くんの言い方についカッとなってしまって、その気もないくせに結婚を検討するなんて言っちゃった…。

これでもう別れるなんて言われたら、私は悔やんでも悔やみきれない。

「私…バカなの…?」

両手のひらで頭を包むように抱えながら、うなだれる。

彼との間に人間的な差がありすぎて、かなりナーバスになっていたのかもしれない。
普段ではさらっと流せる言葉が、今日は流せなかった。

せっかく羽生くんが連絡くれたのに。
腹が立つこともいっぱい言われたけど、結局のところ、断る前提でお見合い相手に会うのは失礼だと言う彼の意見は正しい。

でも世の中、正論だけじゃ渡っていけない部分もあることを、羽生くんに分かって欲しい時もある。

「愛想尽かされたかも…。」

視線を漂わせることなくじっと床を見続ける。
自分の思考が単純すぎて、大人になりきれてなかったことを、今猛烈に痛感しているのだ。

そして、こんな狭い神社で悠々と暮らしている自分と、世界をまたにかけて生きている羽生くん。その比べようのないバックボーンに打ちのめされる。

「あ…。」

そんな中、携帯から着信を知らせる音が鳴る。

表示されている名前は田中よしおだけど、間違いなく羽生くんだ。
それを無言で見つめながら、ひょっとしたらもう別れてくれという電話かもしれないと絶望する。

「やだ…。」

首を横に振ると再び涙があふれた。

その言葉はまだ聞きたくない。
わがままかもしれないけど、心の準備が出来るまで、もう少しだけ彼女でいさせて欲しい。

未練がましい自分に嫌気がさすのを自覚しながら。
私は鳴りっぱなしの携帯を放置し、頭から毛布をかぶった。






.

【スケートカナダ】16 ★→←【スケートカナダ】14 ★



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鹿(プロフ) - ミズイハナコさん» よろしくお願いします! (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» N杯フリーめっちゃ緊張しました!屈んだまま動いてるし!^^今回のN杯は結構ターニングポイントなので、じっくりたくさん書きたいので、ファイナルの日程に被らないようにがんばります^^その後はちょっと考えて。さすがに3週間更新ないとかねえ…だめですよね? (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» インフルのくだり、訂正しました^^私もHDDの容量がやばくて、3年前のN杯とか整理しました。今回も色々録画したけど、結局ネットで見れるので、いつになることやら。EXはてっきりプリンスかと思ってましたけど、春でしたね!そっかそっか。春か〜^^ (2019年11月25日 15時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
ミズイハナコ(プロフ) - 楽しみにしてます! (2019年11月25日 15時) (レス) id: 999282a715 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 続き気になります!!2人は会えるのかなぁ、、、(><)やっぱり羽生君は唯一無二で特別すぎる存在ですねー。ファイナルはどうなるか、心臓痛いですね笑 (2019年11月25日 7時) (レス) id: 6fac0f416c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鹿 | 作成日時:2019年10月31日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。