赤と黒のLiberations6

【結婚とは】6　★ ページ42

★羽生サイド

後継ぎについて、それとなくAに確認するつもりだったのに、結構ストレートに尋ねてしまった。

答えは予想通りというかなんというか。
決定している風ではなかったけど、他に選択肢がなさそうな言い振りで、必然性を感じる答えだった。

それと同時に、自分との未来は無いんだな、と胸が痛くなったが…。

こうなったら、いつかAから別れを告げられるその日まで、しつこく付き合い続けてやろ。
おそらくここ数年の内には婿養子なんて来ねぇだろ。世の中そんなに甘くない。

「でさ、みんなすっごい減量とかしてんだけど、俺全然太らないからなんか大変だなーって。」

『ふーん、それ嫌味？』

「え。」

『今の発言は、全世界の女子を敵にまわしたよ。』

そんなたわいもない会話をやり取りしていると、珍しくAから攻撃的な突っ込みがきた。

「そんなことねーだろ。」

『いやいや、今のは私もちょっと引いた。』

手をひらひらと振りながら軽くあしらわれる。
女子に体重の話は禁句だったか。まずい、なんとか話をすり替えないと…。

「Aは普通じゃん。」

『は？前に鍛えた方がいいって言われたし。』

「言ってねぇよ。」

『言った。ホテルで私の裸を見たとき言った。』

「裸じゃない。ちゃんと下着つけてただろ。」

言い合いがエスカレートしてきて、だんだんお互いの声が大きくなる。つか今あのシチュエーションを出すのは反則だ。

『とにかく。羽生くんはお腹が割れてる子が好みなんでしょ。』

「好みっていうか…。まぁ嫌いじゃないな。」

『相変わらず理想高いね。そんな女の子どこにいるの。』

教えてよ。と雰囲気がますます喧嘩腰になる。

「別にそんなんで好き嫌いを決めたりしねぇわ。え、何？怒ってんの？」

そんなに気に触ること言っただろうかと、眉間にシワを寄せて尋ねる。
せっかくの二人の時間なのに、不本意なことで喧嘩などしたくない。

『別に…。』

それでもAは言葉を濁し、煮え切らない態度で自分の腕に突っ伏した。

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