赤と黒のLiberations5

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「さすがの着こなしね…。」

ベンチに並んで座ったまま、もう５分以上俺の携帯を見つめるメドベデワ。
さっきから着物を着ているように身体を動かしたりしている。

「…まだなの？」

「もうちょっと。」

探求心があるのは良いことだけど、俺の彼女でそれはやめて欲しかったのが本音だ。

「ねぇユヅル。」

「何。」

携帯を取られているので、音楽でも聞こうかとプレイヤーをいじっていると、視線を画面に向けたままメドベデワが俺を呼んだ。

「彼女とどこまでいった？」

「…は？」

すると唐突な質問がきて、思わず隣を見る。

「もうキスした？」

「……。」

「それとも、最後まで…」

「返せ。」

俺は手を伸ばして携帯を奪い返した。
そんなくだらないとこを聞かれるくらいなら、もう見せない。

「もしまだなら、いいこと教えてあげてもいいわよ？」

「知らねぇ。」

あーやだわ。この手の話題は俺の一番苦手とするところなのに。
やっぱりラウンジの方で時間を潰そうと、取り返した携帯を今度こそポケットにしまって立ち上がる。

「ユヅル、メドベ、セッションが始まるよ。」

すると、クラブの人がすれ違いざまに、参加予定だったプログラムの開始を教えてくれた。
これでようやくメドベデワの相手から解放される…。
ほっとしつつ、慌ててサンキュー。と英語で返す。

「ほら、メドベデワ。行こ。」

「で？彼女、名前は何て言うの。」

「しつこいです。」

リンクへと向かう俺の後ろをついてくるメドベデワを軽くたしなめる。

「遠距離ってつらい？」

「知らない。」

「会いたいって思わない？」

「思ってても教えない。」

というか、もう何も情報提供しない。

「あははっ！後でみんなと写真撮りましょ！彼女にも元気な姿を見せてあげなきゃ。」

ＳＮＳにアップしておくわ！と追い越しざまに俺の肩をぽんと叩いた。

「なんだよもー…。」

これは弱味を握られたと思った方がいいのだろうか。
クラブの通路で立ち尽くしてしまった。






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