赤と黒のLiberations5

【誕生日プレゼント】10　★ ページ28

『まどかから聞いたよ。羽生くん北海道に行ってたんだね。だからお土産くるみ餅くれたんだ。』

「ごめん、あの時はまだ詳しく言えなかったんだよ。」

お土産だって、本当はハスカップにしたかったのだが、その後仕事が立て込んでて、フレッシュなまま持って帰れなかったのだ。

『いつの間に収録したの？』

「６月の終わり頃。あとアニメのコラボとか時計のアンバサダーとか、切手やチョコのＣＭ、枕なんかの情報も解禁されるから。」

Aが寂しくないように、今年はめっちゃ仕事を引き受けた。
本当はまだ誰にも言っちゃだめなんだけど、Aは特別。

『そんなに…。ＤＶＤだけじゃないんだ…。』

「あ、知ってんの。俺の珠玉の演技集。」

スケート歴はまだ浅いだろうから、ノーチェックだと思っていた。

『だってまどかが…な、何でもない…！』

ふとAが何かを言いかけて、口をつぐんだ。

「ん？なにー。」

『何でもないから。じゃあ切るからね！』

「え、あぁ…。」

慌てた様子で、バイバイ！と手を振るA。
そして、本当に回線を切ってしまった。

「なんだあいつ。変なの。」

携帯を見つめつつ、小首をかしげる。
しかもめっちゃ焦ってたみたいだから、今日は好きって言ってくんなかった。

ＤＶＤの話になったら急に挙動不審になりやがって…。誰も毎日見ろなんて言わねぇし。

「ん？ＤＶＤ…。」

…まてよ。まどかちゃんの誕生日プレゼントは確か推しのＤＶＤとカレンダー…。

１万円なら金額的にはブルーレイだ…。さらに２種類ある自分のカレンダーは、つい先日発売を発表したばかり…。

「まさか俺の…？」

てことはあいつ、俺のブルーレイとカレンダーを買わされて機嫌が悪かったわけ？
慌てて電話を切ったのは、ひょっとしてこれが理由…。

「ふふふ…。」

不意に笑いがこみ上げてきて口元を押さえる。

やべぇ、ちょーかわいいんだけど。
必死に隠してたのに、バレバレな所が子猫みたいでたまんねー。

「まじで誕生日プレゼント、猫にしようかな。」

将来飼う予定の小鳥さんには申し訳ないけど、こういうのは先に贈ったもん勝ちだ。

俺は早速携帯のブラウザを起ち上げて、Aっぽい猫を探してみることにした。






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