【尻尾】5 ☆ ページ48
「ま、婿養子に来てくれるように頑張って。」
「うるさい。」
一応素直に出て行ってくれたものの、これは頑張るとかそういう問題ではない。
付き合っているからといって、すぐに結婚を考えるのは余りに短絡的だ。
それより今は白狐について調べなきゃ。
私は再び本に集中し、文字を追う。
「えーっとなになに、狩人に追われていた白狐は、助けてくれた人と恋に落ち、その人との間に子供をもうける…。ふーん、そんな伝説が…。」
むちゃくちゃだよ。
白狐が人間の姿に化けている間に、恋愛して子供まで…。
てことは、白狐はメスなんだ。羽生くんとは性別が違うしあまり関係はなさそうかなと思いつつも、次のページをめくって続きを読む。
「こうして二人の間に生まれた子供は、後の安倍晴明と言われ…え?!」
安倍晴明?!
ここで私の生まれ変わりである人物の名前が出てきて、心臓が跳ねる。
「待って待って。羽生くんは九尾で、私が退治したんだよね…。」
いや、羽生くんは九尾に取り憑かれていただけで、九尾自身ではない。
白狐化してるということは、羽生くんがもともと白狐の生まれ変わりで、九尾に取り憑かれた事が何らかのきっかけとなり、耳や尻尾が実体化したと考えた方が辻褄が合うのでは…。
「羽生くんが…白狐…。」
だとしたら、八百万の神様と同じくらい気高い霊気を持つ存在だ。
「あっ!じゃあ羽生くんが私のお母さんってこと?!」
視線を本に戻して再び同じ箇所を黙読する。
安倍晴明が白狐から生まれたのならば、伝説上では私たちは親子ということになる。
「……。」
もしこれが本当なら微妙な気分だ。
前世母親だった人が、現世では彼氏になっているのだから…。
それにずっと晴明である私の方が立場が上だと思っていたけど、ここへ来て一気に形勢逆転…?
「うっそー…。」
でもこれ…羽生くんには言わない方がいいかな。
あくまでも仮定だし、もしも彼自身が白狐の生まれ変わりだと知ったら、もっと俺様な態度で私をいじめそうだ。
それに羽生くんは、耳と尻尾を消して欲しいだけだもんね。
自分の前世なんて興味ないよね…。
「見なかったことにしよう。」
私は静かに本を閉じた。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時