【尻尾】1 ☆ ページ44
☆主人公サイド
7月も幾日か過ぎ、ここ仙台もようやく梅雨が明け、うだるような暑さが続いている。
それは夜中でも例外ではなく、寝苦しい熱帯夜の中でようやく眠りについた私は、夢の中で黄色い小鳥と戯れる。
かわいいなぁ…。いつか飼ってみたいなぁと思いつつ、この非現実空間で幸せなひとときを過ごしていると…。
ピピピピ…。
あれ?小鳥の鳴き声かな。
やけに規則的なメロディーが聞こえてきて、脳が変に刺激される。
でもまるで電子音のように不愉快な鳴き声だ。一体どんな鳥なんだろうと薄く目を開けると、そこには真っ暗な自室の天井があるだけ。
「はへ…?」
あ、小鳥は夢だったのか。
でもまだ鳴き声が聞こえてくるなぁと、一生懸命寝ぼけた頭で考えていると、それが携帯の着信音だと気付いて一気に目が覚める。
「わわっ。」
10回以上鳴ってるっぽい!
相手に申し訳なくて慌てて手に取るのだけど、こんな夜中に電話してくるなんて、思い当たる人は一人しかいない。
しかもよく見たらいつも通りのテレビ電話だ。
私は開かない目をこすり、精一杯まともな表情を作って画面をタッチした。
「羽生くん、どうし…」
『A?!ったく、おせーよ!』
早く出ろ!と巻き舌気味に口悪く言われて、理不尽な気持ちになる。
「……。」
むしろこんな時間に連絡してくる方がどうかしている。
いくらトロントは昼間でも、こっちが夜中なのは分かっているくせに。
でもよほど急用なのだろうか。心なしか焦っているように見えるけど…。
「こんな夜中に…何?」
あくびが出そうになるのを必死に耐えながら尋ねると、携帯の中の羽生くんから衝撃の一言が飛び出した。
『A!俺、尻尾生えた!』
「…え?!」
尻尾?!
意味を理解したとたん、回らなかった頭が完全に覚醒する。
『どうしよ、どうしたらいい?!』
画面の向こうで、羽生くんが部屋をうろうろしつつ本気で困惑している。
でも尻尾って…。これって前にお父さんが言っていたように、本当に狐化が始まったってこと…?
「お、落ち着いて!」
『これが落ち着いていられるか!』
羽生くんの慌てっぷりはすさまじく、いつもの俺さまな態度がさらに増幅する。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時