【想い人】5 ☆ ページ40
「羽生くんのバカ…。」
その寂しさを羽生くんのせいにしながら、意味もなく枕を人差し指で押す。
なぜ彼はフィギュアスケーターなんだろう。
同じ仙台に住んでいたら、普通に出会えた可能性だってあったかもしれないのに。
「……。」
今日何度も確かめた携帯の画面を再び起ち上げる。
でもやっぱり羽生くんからのメッセージは来ていなくて、ため息と共に枕に突っ伏すはめになる。
お話したいな…。
自分のことや今までのこと。まだまだ聞いて欲しいことがたくさんあるのに。
そんな自己嫌悪に陥っていると、不意にピピピ…と聞きなれない着信音が鳴った。
「……！！」
かばっと飛び起きてすぐさま相手を確認すると、そこには待ち焦がれていた人の名前が…。
「羽生くん？！」
テレビ電話だ…。
どうりで何かいつもと違うと思った。
でも今はそんなことどうでもいい。私は迷うことなく通話ボタンを押した。
「もしもし！」
もちろん耳にあてずに目の前に掲げて話しかける。
すると携帯に、狐耳が印象的な、色白で黒髪のかわいい男の子が写し出された。
『あ、A？やっほー。』
そうにこやかに手を振るのはもちろん、私の彼氏である羽生結弦だ。
「羽生くん…本物だ…。」
『はぁ？何言ってんだよ。』
目を細めて、くすくすと笑っている。
そんな可愛げのない一言さえ懐かしくて、私は泣きそうになるのをぐっと堪えながら彼を見つめる。
「……。」
『そんなガン見すんなって。』
手のひらで、落ち着け。とジェスチャーする羽生くんが、まるで目の前にいるみたいで、技術の進歩にただただ感謝だ。
「えと、トロントの家なの？」
『うん。自分の部屋。荷物が片付いてやっと落ち着いたとこ。』
「ふーん…。」
背景に少し写る室内には、幾つか黄色いくまさんが見える。
そういえば私は、彼のプライベートスペースを全く知らないんだった。
なかなか新鮮な風景に、胸が高鳴る。
『今こっちは夜なんだけど、Aこの時間なら家にいる？』
小首をかしげて、羽生くんが人差し指をちょん、と口元にあてながら尋ねる。
「えっ、うん。さっき朝ごはん食べたところだから。」
本当は食欲がなくて食べてないのに、なんとなく嘘をついてしまった。
しかも、あの唇とキスしたんだなと思うだけで、声が上ずってしまう。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ！はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう！＾＾ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら？CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも＾＾思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう？お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い！ (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました！(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか？ (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2019年8月7日 17時
