【雨宿り】12 ★ ページ24
「あり得ないって〜。」
「お前なら充分あり得る。」
睨みをきかせながら釘をさしておく。
俺がトロントに行ってる間に悪い妖怪が寄り付いてきても、助けてあげられないんだぞ。
「き、気を付けるよ。」
「そもそもAさんの周りに妖怪マニアが集まるの何で?妖怪ホイホイなの?」
「そんなことはないけど…。あ、でも昔海でね…」
そしてなぜかここで、どうしても行かなきゃだめだった海水浴で、海の中へ引きずり込まれないように、必死に防御策を練ってた奇特な少女時代を語られる。
「もうさ〜、そんなに妖怪が寄ってくるんなら、あの女の子もそうだったんじゃない?」
「あはは!それはないでしょー。」
勿論これは冗談だけど、からかいの意味を込めてさらに突っ込む。
「わかんねーよ?ほらあれ!座敷わらし的なやつ。」
「浴衣に下駄におかっぱに?どんぴしゃすぎー!」
Aさんがお腹を抱えて笑っている。
「でもさ、やけに妖怪に詳しかったよな。」
「え?」
考えてみれば、Aさんじゃあるまいし、あの年であれだけの種類の妖怪を知ってるっておかしくないか。
「しかもあんな小さな子が、絵札の字を読めるのかな…。」
たとえ一文字だけだとしても、だ。
「あ…。」
「絵だけで判断してたとか…。」
自分で言ってて怖くなってくる。
二人して固まっていると、ふとAさんが、そう言えば…と記憶をたどるように呟いた。
「羽生くんの耳がお熱…って言ってなかった?」
「言ってたな…。」
あの時はしんどかったから深く考えなかったけど、それってもしや、狐耳のことでは…。
「まさか、見えてたとか…。」
「あ、ここへ入って来たときも、こーんこんっつった!」
ただのこんにちはの挨拶だと思ってたけど、今思えば、あれも狐を連想させる言葉だ。
「飴…食べちゃったけど、大丈夫かな。」
「あ…。」
Aさんが心配するのは、それがひょっとしたらこの世の物ではないかも知れないという恐怖からだろう。
でももうべっこう飴は口の中から消えてしまった。
今さらながら、恐る恐る喉を押さえてみると…。
「あれ?痛くない…。」
想像とは逆に、少し前まで扁桃腺が腫れてるなと思うほど痛みがあったのが、嘘みたいになくなっている。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時