【雨宿り】10 ★ ページ22
★羽生サイド
Aさんの家だというのに、あろうことか体調を崩してしまった。
薬を飲んで少し寝たらかなり回復したけど、泊まることになったのはラッキーというか何と言うか。
結局、隣で寝てくれることを了承してくれたAさん。
今、ちょっとスペースを空けてもう1つ布団を敷いているのだが…。
「よいしょ。あーあ、まどかにばれないか心配だなぁ。」
さっきからしきりに妹の存在を気にしている。
「さすがに病人の部屋には来ないっしょ。」
移るし。
「ま、明日も学校だしね。それより羽生くん大丈夫?」
敷き終えた布団をぽんぽんと慣らして、心配そうに俺を振り返る。
その素の表情にどきりとしつつも、平然を装う俺。
「そうでもないよ。ゴホゴホ!」
「わざとらしい咳しないでよ。」
あ、ばれた。
それでもやっぱり喉の調子が悪いので、女の子にもらった飴でもなめようと、辺りを探す。
「ねぇ飴どこ。」
「枕元に置いてるよ。」
「あ、そっか。」
寝転んだまま、ひょいと頭の上にあるお盆から飴を取る。
そしてこれをくれた女の子の顔を頭に思い浮かべるのだが…。
それにしても、本当に不思議な子だったよな。
今風っぽくなくて、浴衣でさえあまり見ない柄だった気がする。
そんな女の子からの飴を、ちょんと手のひらに乗せてみる。
「Aさんは食べたの。」
「まだ。そういえばポケットに入れたままだった。」
「ふーん。せっかくだからさ、一緒に食べよ。」
「そうだね。」
喉に詰めるといけないので、上半身を起こして座りゆっくり包みを開けると、べっこう飴のような黄金色の丸い飴が出てきた。
「懐かしい感じだ。」
「見て?中まで透明できれい〜。」
Aさんが指でつまんで目の前に掲げる。そんな様子を見ていたら、ふとあることを思い付いた。
「あ、食べさせ合いっこしよ。」
「え?」
「お互いが持ってるやつ。ほら、口開けてみ?」
自分も同じように二本の指でつまんで、Aさんに差し出す。
もちろん拒否権など存在しない。
「えー、いいよ。」
「遠慮すんなって。いくよ、あーん。」
布団に手をついて、少し前のめりになってから、問答無用で飴を口許へ持っていく。
すると自然と口を開けてくれたので、優しく押し込んで終了。やった。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時