【雨宿り】2 ★ ページ14
「こーんこん!」
ん?
「何、こーんこんって。」
「こーんにちわ!」
「あ、こんにちはか。」
その子は浴衣を着ていて、おかっぱ頭が良く似合う4、5才くらいの可愛い女の子だった。
浴衣は結構レトロで、今風のものではないように見える。
「近くの子みたい。雨宿りさせてって、ちゃんと言えたんだよね。」
「うん、あまやどりー。」
そっか。訪ねて来た人が子供で、Aさんもほっとしているようだ。
「浴衣着てるってことは、近くでお祭りでもやってたのかな。」
「お祭りにはまだ早いよ?」
俺が尋ねると、Aさんがタオルを用意しながら教えてくれる。
そうだよな。世間はまだ梅雨で、夏休みにもなってない。
「えへへっ。」
「あ、おかし食べる?」
そんな中、屈託のない笑顔を見せる女の子に、今日持ってきた北海道土産のくるみ最中を薦めてみる。
これは何百年以上も前からある老舗の銘菓で、中にくるみがぎっしり詰まった和菓子なのだが、果たして子供の口に合うだろうか。
「これすきー。」
しかしそんな心配をよそに、女の子が指を差しながら、お菓子に近寄ってきた。
お、なかなか良い反応!
「小さいのに渋いね。」
「うん。おにぃちゃん、ありがとう!」
一個渡してあげると、包みを剥いてさっそく口に放り込む。
「どういたしまして。君、名前はなんて言うのかな。」
これから雨が止むまでのしばらくの時間、この部屋で共に過ごすので、せめて名前をと目線を合わせながら尋ねるのだが…。
「んーとねぇ、ひみつだよー。」
「秘密なの?じゃあ秘密ちゃんって呼んじゃうよ?」
「いいよー!」
恥ずかしいのかな。
ま、楽しそうだからいいか。無理に聞くのはやめよう。
「ふふ。じゃあ秘密ちゃん、まずお姉ちゃんが濡れた髪を拭いてあげるから、こっちにおいで。」
そんな中、Aさんが膝まずいて、女の子の頭にタオルをかけようとすると…。
「おねぇちゃんやだー、おにぃちゃんがいい!」
「え?」
不意にそのタオルを奪って、俺の元まで走ってくる。
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鹿(プロフ) - みなみさん» そうなんですよ!はや九月。もうオータムもそこまでなので、そろそろお話を進められそう!^^ゆずの曲はまだ聞いたことがないのです。あまりCM見ないので… (2019年9月2日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっという間に9月になってしまいましたね。A.C.が近づいてきていますね。どんなプログラムなんだろ。今更ですが、ゆずの「SEIMEI」って、平昌のゆづの「SEIMEI」からとっていたりするのかしら?CMで耳に目にする度に考えてしまいます。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» しっぽも役に立つ日が来ます絶対(笑)トロントへは行かないですが、遠距離って書いてて楽しいかも^^思いやりが生まれます。羽生さんの中身をもっとしりたいなあ〜…。もちろんオフレコで(笑) (2019年9月1日 9時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 更新ありがとうございます。深刻なのになんか面白い展開になってますね。ヒロインちゃん、トロントに行っちゃう?お母さんのOKというか、そういう人でないとゆづ本人が納得しないんじゃないかな。逆に、ゆづが選ぶ人はかなりの才色兼備な人ということ。ハードル高い! (2019年8月31日 18時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そろそろみなみさんからコメントきそうだなーって思ってました!(^_^)私は密かに、結婚しないんじゃないかなーって思ってます。そもそも人を本気で好きになったことなさそう(笑)それにお母さんのオッケーが出なきゃだめっぽくないですか? (2019年8月31日 6時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年8月7日 17時