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【九尾退治】4 ☆ ページ37

☆主人公サイド

「羽生くん…どうしたの。」

さっきまであんなにオレオレだったのに、突然挙動不審になってしまった。

「ここに横になるよ…。」

返事がないので、もう自分からベッドに横たわると、目隠しが暑いのか羽生くんが汗をかいていた。

「ごめん、始めよっか…。」

やっぱり元気がない。
まさか九尾がまた身体の中で悪さを…?!だとしたら大変だ。

「羽生くん!」

「へ?」

私は自分から無我夢中で羽生くんに抱きついた。
でも、私が下にならなきゃいけないから、体重をかけて身体ごと自分の方向へ引き寄せる。

「おわっ!」

私が背中から仰向けにベッドへ倒れ込むと、突然羽生くんの表情が苦悶に歪んだ。

「羽生くん?!」

その、痛みとは違う苦しみ方に、私は彼の中に九尾の存在を確信する。

「き、九尾が…。」

私…いや、晴明の力に反応しているのだろう。
しっかりと抱き合っている状態なので、私のすぐ耳元で彼の苦しそうな声がする。

「今どこにいるの?!」

「お、お尻の…辺り…。」

てことは下へ行ったんだ…!
私はお父さんがクッションを相手にしていたように、羽生くんの下半身に巻き付くように足をぎゅっと絡めた。

「そっちじゃないの!」

作戦では頭の方へ誘導しなきゃならない。
私は、このまま上へ登れとばかりに、足で必死に九尾の行く手を阻む。

「あ…背中…。」

今度は背中…?
羽生くんが苦しそうに身体を反ったとたん、私との間に少し空間ができてしまった。

「だめっ。もっとくっつかなきゃ!」

羽生くんの背中に回した手にぎゅっと力を込める。お互いの胸同士が当たってるけど、もうなりふり構ってなどいられない。

「首…来てる…。」

再び絞り出すような声がして、私は九尾が作戦通りに上へと来たことを知る。
ここまで来たら、背中にある自分の手を徐々に上へと滑らせて…。

羽生くん、もう少しの辛抱だよ。
きっと九尾は次、頭から出てくる。

「あ…あぁ熱…い。」

よほど辛いのか、目隠しをしたまま私へと倒れ込むその身体に汗がしたたる。
でもいくら重くても、この体制なら手が自由に使えるから、九尾を退治するのに問題はない。

来るなら来いと、真剣にタイミングを伺っていると、突然ぼんやりとした光が羽生くんの頭から出てきて、思わず息を飲む。

「九尾…。」

そして待ちかねていた、白くて目付きの悪い狐の顔が、ぬっと現れた。

今だ!
私は両てのひらで、羽生くんの頭を包むように九尾に触れた。





.

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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時

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