赤と黒のLiberations

【困惑】7　☆ ページ7

私は険しい表情で、テレビの中でウォームアップをしている羽生くんをガン見する。

そして、うまく波長を合わせながら集中していくと、彼の身体に、気味の悪い白い影がゆらめいているのが視えた。

間違いない…。九尾は羽生くんに取り憑いているんだ！

「はぁ〜…。この目付き、たまんないなぁー。」

「ねぇまどか。羽生くんってどこに住んでるの。」

のんきそうにテレビを見つめるまどかに、間髪入れずに問いかける。

彼が仙台生まれなのは知っているけど、どこの地区出身なのかまでは知らない。

突然家に行くとか失礼だけど、このまま放っておくことなど出来ないし、これは一刻も早くお祓いをしてあげないといけないレベルだから。

「え、トロントだよ？」

「はぁ？！」

トロント…ってカナダの？！
予想外の答えが返ってきて、今素で驚いた。

「練習拠点がカナダだもん。でも日本でマスコミに付け回されるより安心して暮らせるから、ファン的にはそっちの方がいいよ。」

……。
今気付いたけど、まどかって相当羽生くんに詳しいな…。

「じゃあ今度はいつ日本に帰ってくるの。」

「んー、１２月に大阪で行われる全日本じゃない？」

大阪…。

「あんたチケット持ってる？」

「そんなの持ってるわけないよ！いくらすると思ってるの？！」

小学生のお小遣いで買える代物じゃないから。となぜか本気で怒られる。

「じゃあ出待ちするしかないか。」

「それやったらファンじゃないし。」

……。
色々手厳しい。

「じゃあどうやったら会えるのよ。」

「地道にチケット取るしかないよ。それも倍率がすごすぎて、よほどの強運の持ち主じゃなきゃ無理だけどねー。」

「……。」

お金だけじゃなくて、運も必要なのね…。恐るべし羽生結弦！





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