【嘘じゃない】3 ☆ ページ16
世界選手権フリー。
いよいよ羽生くんの出番がきて、まどかは緊張がピークのようだ。
まぁ私は違う意味で緊張してるけど。
「ループ決まるかな…。」
テレビの中で、海外のコーチと話す羽生くんを見つめながら、まどかが前のめりになる。
私も隣でそれを同じように眺めるのだが…。
あぁ…やっぱりいるな、九尾の狐。
白くて目がつり上がってる。
でも、思ったより動き回ってないような？
『羽生結弦さん、日本。』
女性のアナウンスが選手の名前と国籍を告げると、まどかが手を合わせて、ループループ…と祈り始める。
そうしているうちに、しゅっとスケートを止め、氷の上に屈んだ彼が、音楽に合わせて目覚めるように立ち上がった。
音をまといながら後ろ向きに滑り出し、ゆっくりと身体を回転させてゆく。
そして、ジャンプを跳ぶために、ぐっと膝を落とした。
「わぁっ！！」
テレビの中の歓声とまどかの声が重なって、その直後、美しい流れのまま右足で着氷する。
転ばなかった…。しかも今、完全に九尾の気配が無くなっていた。
「すごい…。」
ある意味さっきの状況は、羽生くんのものすごい集中力で、九尾の能力を抑えていたようにも見えた。
彼本当に人間なの…？
ひょっとしたら、イザナギやイザナミ級の神さまに守護されてたりして…。
そんな妄想を頭の中で繰り広げていたら、不意に次のジャンプで着氷が乱れた。
「「あぁ！」」
その瞬間、私たちのため息にも似た声が部屋に響く。
でも私とまどかでその意味合いは全く違う。
だって今のは、明らかに狐が邪魔をしたから。
一瞬、テレビに羽生くんの苦痛に歪む表情が写し出されて、胸が痛む。
あの狐、優勝がかかった大事な試合でこんなことするなんて…。
「許せない…。」
「え、お姉ちゃん？」
場違いな言葉に、まどかが不思議そうに私を振り返った。
でもそれを皮切りに、羽生くんの怒濤の演技が観客を魅力していく。
それは私とて例外ではなく…。
途中、九尾に邪魔をされながらも、彼は見事な演技で今季の自己ベストを叩き出したのだ。
すごい…。すごすぎる。
少なくともこのフリーの間、彼は幾度となく自分の意思で九尾を封じ込めていた。
こんなことができる人間が存在するなんて…。
「羽生くん最高だよ…。」
「ずっと言ってるじゃん！も〜泣く！」
テレビ画面へ賛辞をこめて拍手を送る。それはまどかも同じ気持ちだったようで、タオルで何度も顔を拭っていた。
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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です＾＾；今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます！＾＾ (2019年6月17日 16時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです！私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑（ショックリポート）です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか＾＾調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい！今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます！ (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作！ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと＾＾神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜！ (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2019年6月10日 16時
