【雨】5 ☆ ページ35
☆主人公サイド
「ただい…」
「お姉ちゃん!どういうこと?!」
苦手な高速道路の運転で駅を往復し、どっと疲れた私は、家に帰っていきなりまどかに怒鳴られた。
「え…、あ。」
しまった。今日は両親が遅くなるから、晩ごはんの用意をしなきゃいけないんだった。
とほほ…。すっかり忘れてた。
帰りに何か買ってくればよかったなと、自分の失敗を責めていると…。
「なんで羽生くんのサイン持ってんの?!!」
「へ…。」
仁王立ちのまどかの手に、羽生くんが帰るときに書いてもらったサインが。
そうだ。駅まで送らなきゃいけなかったから、リビングのテーブルに置いたままだったんだ。
「しかも今日の日付が入ってるじゃん!」
小さな身体でぐいぐい押されて、何から話せばいいのか戸惑う私。
「ぐ、偶然来たんだよ…?」
「いつ?!」
「まどかが帰ってきた時いたでしょ。さっさと着替えに家の中へ入っちゃったくせに。」
雨が降っていたし、走って行ったから私もわざわざ呼び止めなかったのだ。
「嘘っ、あの人羽生くんだったの?!んも〜…何で教えてくれないかなぁ!まどかがファンなの知ってるでしょ!」
「そ、そうだけど、色々事情があったのよ。」
さすがに彼が九尾という妖怪に取り憑かれてて、そのためにお祓いに来たということは言えない。
「黙ってた罰として、このサイン貰うからね。」
「あ、どうぞどうぞ。まどかのために貰った物だから。」
「え、そうなの?!」
…気が利くじゃん。と、サインを抱きしめたまどかの怒りが少し収まる。
よかった…。
「それより家に入りたいんだけど。」
さっきから玄関先でする会話じゃないし、ほっとしてお腹もすいたから何か食べたい。
「あ、ごめーん。」
やれやれ、やっと中に入れる。…と思ったら今度は後ろから賑やかな声がした。
「ただいまー!あら、お姉ちゃん。」
たった今戻った両親に、ここで何してるの?と当然の質問が飛んでくる。
こんな時間に玄関先で家族全員何やってんのかなと、少し虚しくなった。
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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です^^;今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます!^^ (2019年6月17日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです!私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑(ショックリポート)です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか^^調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい!今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます! (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作!ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと^^神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜! (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月10日 16時