【激闘】7 ☆ ページ29
「じゃあ私が羽生くんを振り払って離れたから、その隙に九尾が羽生くんの中に逃げ帰れたってこと?」
「そーゆーこと。」
がーん。じゃあ私がしたことって九尾を助けたようなものじゃない!
申し訳なくて頭を抱えていると、ふと羽生くんが、ちょっと来てみ?と指をちょいちょいと動かして私を呼んだ。
「え、何?」
「ん。」
そして目の前の床をちょんちょんと指差す。
「来いってこと?」
「うん。」
言われた通りに、座っている体制から膝をついて、1メートルほどの距離を移動する。
そして羽生くんにより近い場所で正座をしたら、いきなり長い腕がぬっと伸びてきて、その手が突然私を抱きしめた!
「?!?!」
「あー…やっぱりちょう落ち着くわ〜…。」
美味しいお味噌汁を飲んだ時のように、しみじみと言われるのと同時に、羽生くんの謎の行動に若干パニクる。
いや、むしろこの状況…!
「あの…何やってるんですか。」
「こうやると身体の中の九尾がより大人しくなんの。」
固まってしまった私は、なんとか声を振り絞って羽生くんに尋ねるのだが、そんなかわいく言われても御神体の御前でこれはどうなの。
「……。」
「あー、久しぶりだわ〜、この誰にも邪魔されない感覚。」
心の解放感!と、まるで子猫を愛でるように背中を撫でられて、ペットか!と内心突っ込む。
「あの〜…。」
「ん?」
「私たち、今日会ったばかりですけど…。」
しかしいくらあの羽生くんでも、異性で他人だ。それなりに意識してしまうからやめてもらう。
「あ、ごめん。つい。」
笑いながらも、ぱっと離してくれた。
スキンシップが日本人ぽくないのかな。まぁ世界で活躍していたらそうなるのかも。
「は、羽生くんはいつから九尾に取り憑かれたんですか?」
気を取り直して、九尾についての話題を振る。
こんな大事になってしまった手前、もっと早く気づいてあげられたのになと思ったからだ。
「えー、いつかな。初めて変だなって思ったのは、一昨年のNHK杯かな。」
怪我したし。と腕を組んで残念そうに言う。
「けっこう前ですね…。」
「原因が分かるとさらにつらいわ〜。」
「そうでしょうね…お察しします。」
私も今ちょっと同情した。
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鹿(プロフ) - 雪菜さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです。怖い話は苦手です^^;今回は心霊とは違うのですが、和風っぽくしたいなと思ってます!^^ (2019年6月17日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - おはようございます、新しい話も面白いです!私は昔から心霊とかそういった話が好きです。本当にあった怖い話という ものがあります。そのなかでも山本まゆりさんの恐怖進行刑(ショックリポート)です面白いので読んで見てください (2019年6月16日 9時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» 毒ガスが噴き出ているところでしょうか^^調べているときに見たような。あまり九尾ネタが広がらなかったらごめんなさい!今回は短めのお話にしようかなーと、更新早めを目指してます! (2019年6月15日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 新作!ありがとうございます。栃木県の那須塩原市に殺傷石と言う所があって、九尾の狐伝説があります。宜しければご参考まで。また楽しみに読ませて頂きます。 (2019年6月14日 21時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 私も調べてみたら、晴明と繋がっていることがわかって、これなら書けるかなーと^^神事とかはもう適当でねつ造ばかりなので、突っ込まないでくださいね〜! (2019年6月14日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月10日 16時