【これから】4 ★ ページ25
「あ、そだ。そんなことより翔の肖像画の手配どうなってんのかな。」
肖像画で思い出した。以前まっちーに、生まれたらすぐに絵師を呼ぶよう段取りしていたはずだ。
生まれたて、1ヶ月ごとの変化…。それを全て遺すように指示しておいたのだが…。
その時、ふと部屋にノックの音が響いた。
子女が迅速に対応する中で、外から聞こえてきた声に耳を傾ける。
「町田です。皇子さまの肖像画を描く絵師を連れて参りました。」
え、まっちー?
噂をすれば…とはこのことかと思いつつ、子女が俺に入室の決定権を委ねてきたので、もちろん許可する。
すると、失礼します。と絵師を従えたまっちーが、いつもの美しい所作で扉を開けた。
「王子もこちらにおられたのですね。」
「うん、今日休みだしね。」
たわいもない会話をしつつ、休日は家族と穏やかに過ごすものなんだぞ、という意味を込めて胸を張る。
「以前は大会後も朝から練習をされていましたのに、近年はずいぶん変わられましたね。」
「まぁね。」
Aが来る前のことを言っているのか、まっちーがくすりと笑った。
たしかに昔に比べて、自分自身が変わった部分もあるかもしれないけど、その時その時で思うままに行動するのが射手座のB型なのだ。
そんな中、突然まっちーが改まって姿勢を正し、俺とAに向かって深々と頭を下げた。
「結弦王子、この度は皇子さまのお誕生、誠におめでとうございました。」
まっちーらしい少し固い挨拶にも、にこやかに対応する。
「ありがと。」
「Aさまも、ご出産おめでとうございます。」
「ありがとう。」
二人でお礼を言い合う側で、絵師もまた帽子を取って膝まずく。
「皇子さまのお着替えが終わりましたー。…あれ。皆さんお揃いでどうしたんです?」
そしてこちらもタイミングの良いことに、真凜が翔を抱っこして戻ってきた。
「これから肖像画を描いてもらうの。」
「これからですか?」
「うん。さぁ絵師さん。申し訳ないけど生まれたてなので、段取り良く手短にお願いね。」
俺は椅子から立ち上がり、同じ目線でお願いする。
「かしこまりました。デッサンのみしっかりさせて頂くつもりですので、すぐにおいとま致します。」
そう柔らかな口調で話しつつ、道具を床に置いて必要なものを準備してゆく。
ちなみに彼は、以前もお願いした初老の絵師さんだ。
「では、皇子さまはこちらのベビーベッドに寝かせますね。」
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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時