【SEIMEI】9 ★ ページ18
「ま、いいけどねー。いつものことだし?」
それでも気にしてない風に言う佳菜を前に、もう自分も親になった手前、ここは歩み寄るスタンスでいくべきかなと思い直す。
もう父親だもんな…。
俺は一度咳払いをして真剣な眼差しで告げた。
「佳菜。翔をお願いします。」
「へ?」
心を入れ換えるつもりでほんのちょっと頭を下げたら、驚かれたのか、佳菜に間抜けな表情でガン見されてしまう。
しかもその後、キモ〜い!と一言告げて自分の二の腕をさすった。
「んもう!人がせっかく素直になってんのに、なぜお前はそういう態度をとる!」
「だってさ〜。」
笑いながら頭をぽりぽりかく佳菜に、前言撤回したくなるほど、地面を踏みつけて怒りを露にする俺。
「佳菜子。これから三人で協力して、翔さまを立派な世継ぎとして育てなきゃなんないんだよ。そういうケンカもいい加減にやめなさい。」
「はぁい…。」
しーちゃんにたしなめられはしたものの、明日になればまたいつもの調子に戻ってるんだ、絶対。
「まるで静香さんがお母さんみたいですね。」
「違うし。」
Aが冗談ぽく言うのを即否定する。
しーちゃんがお母さんさんだなんて…じゃあお父さんはまっちーか。
…まぁあり得なくはないかも。
「ふあぁ〜…。なんだか佳菜眠くなっちゃった。」
そんな中、不意に佳菜が大きなあくびをした。
でも、自分は試合に子ども誕生に、アドレナリン大放出中なのでまだまだ起きていられる。
「俺全然眠くない。」
「ゆづはいいけど、そろそろ本当にAさまを休ませてあげないと。」
「え〜…。」
しーちゃんの言うことは最もだけど、せっかくの特別な日なのにもう?と子供じみた欲求が抑えられない。
「Aさま、私は隣の部屋にいますから、何かあったら呼んでくださいね。」
「ありがとうございます…。」
「ゆづと佳菜子はさっさと戻って寝ること。」
わかった?と念押しされて、しーちゃんは背伸びをしながら隣の部屋へ行ってしまった。
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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが^^;羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか?いつか本人も、親になってほしいです^^ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました!何度でも読んでください^^私も読みます!とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね!妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました! (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても楽しく読ませていただきましたー!やっぱりゆづは王子だよね!(´ー`*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました!(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね! (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです^^あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが^^;また何か書ければいいなと思います! (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年5月25日 9時