【会いたくて】3 ☆ ページ27
「本当に。お元気そうで何より。」
そう言えば最後に会ったのは一希くんのジュニアの試合だったっけ。
時々ゆづ王子から話には聞いていたけど、実際こうしてお話するのは本当に久しぶりだ。
練習着を着ているということは、この後ここで滑るのだろう。
立ったままなのも何なので、隣に座るよう促すと、遠慮しつつも従ってくれたので、このまま並んで見学する。
「あ、赤ちゃんおめでとうございます。」
ふと知子さんが、またかわいく頷くように頭を下げてくれる。
「ありがとう。でもしばらく会わないうちに、昌磨さまがこの国で暮らすことになったり、随分環境が変わったね。」
そんな中でも、私的には昌磨さまに関することが聞きたかったので、ここはわざと話題にしてみる。
「そうですね。でも昌磨くん、毎日スケートしていきいきしてるから、私も頑張らなきゃなって思います。」
その言葉を聞くと、スケートは二人を繋ぐ絆なのだなと伝わってきて、これから試合を控えてはいるものの、なんだか微笑ましくなる。
「昌磨さまを応援してるのかな。」
だからもっと深い胸の内を聞いてみたくなって、尋ねると…。
「…頑張ってるの見てるので、勝って欲しいです。」
はにかみながらも、彼の一位を望んでいるようだ。
でも決して具体的な順位を言わないのが知子さんらしい。
「私の夫も負けませんよ。」
「ゆづくんは…手強いですよね。」
何度も頷くその真剣な表情に、スケートをする者同士、試合運びなど、私などでは想像もできないようなことをたくさん考えているであろうことが読み取れる。
ジュニアの試合で思ったけど、たった一度の本番で予期せぬ事が起こったりすると、それに対応することに必死になって本来の力が出せないこともあるから。
「スケートって、どっちが勝っても負けても、実力だけでは言い表せない部分があるのかも。」
「それでもゆづくんは勝っちゃうから…すごいんです。」
王者です。と知子さんがリンクを見つめながら言い切る。
「でもかわいいところもあるのよ。」
ゆづ王子はああ見えて、スケート以外では優しくてちょっとほわっとしてて、子供みたいにはしゃぐこともある。
見た目も中身も、年下かと思う瞬間があるし、常に強靭なメンタルを持って生活しているわけではない。
「あ、それは昌磨くんもです。」
なんとなく意気投合したところで、不意にリンクからがしゃんと音がして視線を向ける。
すると昌磨さまが何にもない場所で転んでいた。
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鹿(プロフ) - みなみさん» みなさんの、早く次をっていうオーラがすごくて、恐縮です^^;こうやって一生書いてそうですが、本人の結婚までかなあ〜。一気にモチベーション下がりそうですし、妄想できないような気もしますね。いよいよ明日から幕張!ニュース楽しみ!! (2019年5月23日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 追伸。クワドアクセル、GOE+5、見たいなあ。 (2019年5月22日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - いよいよ皇子が生まれるんですね。現実から離れた設定のお話し、とても楽しかったです。なんて、終わりが見えてきたって、寂しいですが、早くも次の作品を楽しみに待ってますね。 (2019年5月22日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 雪菜さん» どうやらお帰りになった模様^^幕張楽しんでくださいね!お話も頑張ります〜。感想うれしいです^^ (2019年5月22日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - ありがとうございます!参考させていただきます。あとちょっとで始まります。楽しみです。小説の方も主人公ちゃんの陣痛が始まり産まれますね早く続きが読みたくなります!(^o^) (2019年5月22日 0時) (レス) id: 67e9c24f43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年4月26日 20時