【告白】6 ★ ページ6
「そうなんですね。私てっきりゆづさんが妬きもちを妬いてくれたのかと思ってました。でもそんなわけないですよね。」
「ふへ？」
「調子に乗る所でした。」
ひとまず食事にしましょう。とAが怒るでもなく冷静に立ち上がりかけたので、その手を掴んで阻止する。
「待って。」
「？」
「そんなわけなくない。」
ここはごまかす所じゃなかったなと、今度は真剣な眼差しで向かい合うと、Aが再びゆっくりとソファーに腰を下ろす。
「ゆづさん？」
「A、聞いて。」
俺は言葉を選びながら、今まで無良くんとAに対して抱いていた子供じみた嫉妬を吐き出す。
無良くんのスケートに感銘しているAの姿を見たことによって、それが小さな心のくすぶりとなり、過去の事を蒸し返してしまったこと。
今まで何度も、二人の間には何もないと言われていたのに、心のどこかでそれを信じきれてなかったこと。
「ゆづさん…。」
「でも、Aは俺のことを特別だって言ってくれた。そんな最高の褒め言葉を聞いたら、他のことがどうでもよくなったんだよ。」
こんなこと、一国の主が言えたことじゃないけど、Aになら話せる。
自分の弱い部分も、何もかも。
そして一通り話終えるとAが俺の手をぎゅっと握った。
「私、自惚れてもいいんですか…。」
「え…。」
「ゆづさんの一番って、思ってていいですか。」
不安そうな瞳だけど、でもしっかりとした声を自分に向けて告げる。
「そうだよ…当たり前じゃん。」
かすれた声で、握ったままの手を引いて抱き合う。
今まで何人ものスケーターとこうしてるのに、やっぱりAは特別で、心が満たされる。
「ずっと、側にいさせてください…。」
ふと、Aが切な気に言った言葉に頷いて…。
「Aが帰りたいって言っても、帰さないから。」
わがままと願望をそのままぶつける。
「私の生きる場所は…ここです。」
そしてお互いがお互いを、唯一無二の存在なんだと自覚しつつ、そっとキスをした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - 心菜さん» お話しに触れていただいていありがとうございます！ちょこちょこ休憩的な話を挟んでしまうがゆえに、とても長くなってしまうという…。次移行なので、またよろしくお願いします！！私は神戸インだよ！！ (2019年4月23日 18時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» もうトロントへ帰ってそうですね＾＾でも乙女だったなあ〜。いろいろ乙女だった。今度はいつ会えるのでしょうか。ショーには出てくれるのでしょうか！あ〜仙台行きたい！ (2019年4月23日 18時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
心菜(プロフ) - 王女ちゃん1人でのお参りでも、国民の皆さんに喜んで貰えて良かった(^-^)色々応募しても何にも当たらない私ですが、1日乗車券は御用意頂けました。そしてFaoi幕張土日参加です (2019年4月22日 20時) (レス) id: 15da2c977a (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - ニュースで笑顔が見られましたね。束の間の実家滞在になるのかな。帰国している間にいろんなお仕事が詰まってそうですもんね。とりあえず、いい表情だったなと思いました。ここのところ情報チェックする余裕があまりなく、乗り遅れています。ゆづが元気ならそれでよし。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» そんなに壮大な話にはならないんですけどね。ちょっと昌磨さんの話を書きたかっただけなのに、変な方向にいってしまって＾＾；これが終わったら試合です！ご本人はもう仙台についたかなー？！ (2019年4月18日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2019年3月18日 19時
