氷の国21

【作戦】1　★ ページ37

★ゆづサイド

「来た！」

アイスクリームを食べ終えてしばらくすると、フェイから交信が来たので座ったまま身構える。

心配そうなAを横目に、まずは状況を確認するためにいくつかやり取りをすると、昌磨は牢などではなく、自室に軟禁されていることが分かった。

魔物であるニジンスキーの存在に驚かれはしたものの、そっちが助けを呼んだ手前どうこう言える立場ではないので、説き伏せてさらに昌磨の話を聞く。

すると、やはり結婚を断ったせいで事務次官と言い合いになり、結婚当日まで部屋に閉じ込められた…ということだった。

とにかく今の昌磨は、眠りの国を出ることしか考えていないようだ。
でも王子という立場上、そんなわがまま通用するわけもない。

「大義名分のもと、氷の国への移住したいってことか…。」

しかも誰にも文句言われない形でとなると、むしろ結婚を白紙に戻せるように働きかける方が早いかもしれない。

昌磨の気持ちが固すぎて、これはもうどうこう説得するレベルじゃなくなってるからだ。

『ちなみにさ、結婚相手ってどこの国の人なの。』

『えっとね、自由の国の年上の人だって言ってる。』

自由の国…。
フレンドリーで夢のある国だけど、少し自信家が多いイメージだな。

確かに昌磨の相手としては…ちょっと想像つかないわ。

『しかも１０才も年上なんだって。』

「１０才？！」

「ゆづさん？」

びっくりした…。
あまりに意外で思わず声に出して叫んでしまった。

「昌磨の結婚相手、１０才年上なんだって。」

「まぁそれは…。」

なんと言ったらいいか…。とAも言葉を濁す。
年上がいいと言っていたけど、これはちょっと離れすぎかなとも思う。

『国益重視なんだって〜。昌磨くんの意見なんて全然聞いてもらえないって。』

そっか…。
自由の国は果物も肉もたくさん扱ってるから、結婚という繋がりがあれば、交易で様々な物を交換できるだろう。

面倒な駆け引きなど一切考えずに、身内になりさえすれば順風満帆に事は運ぶんだから。

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